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2022/12/08

大和怪異記 卷之五 第九 かゐる蛇をふせぐ事

 

[やぶちゃん注:底本は「国文学研究資料館」の「新日本古典籍総合データベース」の「お茶の水女子大学図書館」蔵の宝永六年版「出所付 大和怪異記」(絵入版本。「出所付」とは各篇の末尾に原拠を附記していることを示す意であろう)を視認して使用する。今回の本文部分はここ。但し、加工データとして、所持する二〇〇三年国書刊行会刊の『江戸怪異綺想文芸大系』第五の「近世民間異聞怪談集成」の土屋順子氏の校訂になる同書(そちらの底本は国立国会図書館本。ネットでは現認出来ない)をOCRで読み取ったものを使用する。

 正字か異体字か迷ったものは、正字とした。読みは、かなり多く振られているが、難読或いは読みが振れると判断したものに限った。それらは( )で示した。逆に、読みがないが、読みが振れると感じた部分は私が推定で《 》を用いて歴史的仮名遣の読みを添えた。また、本文は完全なベタであるが、読み易さを考慮し、「近世民間異聞怪談集成」を参考にして段落を成形し、句読点・記号を打ち、直接話法及びそれに準ずるものは改行して示した。注は基本は最後に附すこととする。踊り字「く」「〲」は正字化した。なお、底本のルビは歴史的仮名遣の誤りが激しく、ママ注記を入れると、連続してワサワサになるため、歴史的仮名遣を誤ったものの一部では、( )で入れずに、私が正しい歴史的仮名遣で《 》で入れた部分も含まれてくることをお断りしておく。

 標題の「かゐる」はママで、本文でも同じ。「蛙」の読みの「かへる」の音変化に「かいる」があるが、「ゐ」は誤りである。]

 

 第十 かゐる蛇(へび)をふせぐ事

 若狹(わかさの)侍、かたりていはく、

「わかきじぶん、三月もすえになり、いとあつき比《ころ》、にはに、水、うたせ、草木(くさ《き》》も、つゆ、おもげに見え、すゞしき風に、あふぎも、わすれ、ゑん[やぶちゃん注:ママ。「緣(えん)」。以下同じ。]に、こしをかけ、いねふりがちなるをりふし、むかふのうゑごみのうちより、二尺ばかりのへび出《いで》、こなたに、むかひ來《きた》るとき、ゑんの下より、かゐる、いでしを、蛇、見つけ、のまむ、と、より來《きた》るに、此かゐる、前あしを、あげ、あひ、まつ。へびも、又、とゞまる。しばらく有て、へびよりて、のまむ、と、すれば、まへあしをあげ、蛇のかしらを、うつ。うたれて、しりぞく。又、よれば、かしらを、うつ。かくする事、三度に及び、蛇は、もとの所に、にげかへる。あまりにふしぎに思ひ、此かゐるをとりてみるに、釘の、をれ、二分(にぶん)ばかりにて、なるほどするどきを、手のうちに、にぎり、これにて、蛇のよりくるとき、かしらをつくゆへ[やぶちゃん注:ママ。]、いたみて、のみ得ずと見えたり。かやうの蟲までも、をのれ[やぶちゃん注:ママ。]にかたき有(ある)ことを、かねて、しり、これにて、ふせぎけるにや。あまりふしぎなる事ゆへ、あたりの人をあつめ、見せたり。」

と、かたりき。「怪事考」

[やぶちゃん注:典拠「怪事考」は不詳。「近世民間異聞怪談集成」の解題で土屋氏自身が、本書を『該当する資料名が不明なもの』の一つに入れておられる。

「釘の、をれ」釘の折れたもの。

「二尺」六十一センチメートル弱。

「二分(にぶん)」読みはママ。二分(にぶ)は六ミリメートル。]

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