大手拓次詩畫集「蛇の花嫁」 「さびしさ(斷章五篇)」
[やぶちゃん注:底本その他は始動した一回目の私の冒頭注を参照されたい。「🦋」は前に使用したように、それとなく置いたもので、元は、白抜きで、 もっとシンプルな図柄である。第二連の「🦋」の前が二行空けとなっているのはママ。誤植とも思われるが、再現しておいた。]
さ び し さ (斷章五篇)
🦋
ああ わがおもひ 日にまさりつつ
わがこころ いよいよよわく
さびしさの 身をきざむなる
🦋
汝(なれ)をおもへば
かなしさの 胸にこもりて
秋の日に 飯(いひ)も食べえず
🦋
みしらざる にほひの花よ
いづこにありや
ついばみの鳥 あらざるまへに
みしらざる にほひの花よ
🦋
風ありて 雨をしぶきぬ
われ このしぶきのなかに
身をなげすてむ
🦋
さびしさは 波のうへの舟ならむ
さかまける 水泡(みなは)のしたに
さそはるる
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