大手拓次詩畫集「蛇の花嫁」 「ほがらなるこゑ」・「汝が顏のしづめるとき」・「さだかならぬ姿」・「うたの心」・「秋の日はうすくして」・「二人静」
[やぶちゃん注:底本その他は始動した一回目の私の冒頭注を参照されたい。特に、ソリッドに一括したのは、別に意図はない。短詩が多いので、一つ一つ公開するのが面倒になっただけである。]
ほがらなるこゑ
汝(な)がこゑの
ほがらなる日は
わがこころ いともたのし
汝がこゑの
小鳥のごとくまろき日は
わがこころ かろやかにをどるなり
汝が顏のしづめるとき
汝(な)がかほの
しづめるときは
わがこころ
もののへだてを のぞきけり
汝が心へと ちかづけり
さだかならぬ姿
ありなしの すがたなればや
きみみえず
うすきひかりの ながれきて
わがながめしを よびいづる
う た の 心
あめは こずゑのなかにあり
うたはざる 歌のこころの
ゆふぐれに ときめけり
秋の日はうすくして
秋の日は うすくして
衣に透(す)けり
秋の日は
みえざるごとく とほくして
思ひのかげを うごかせり
二人静
汝(な)がこゑは
月の夜(よ)にゆるる
二人静(ふたりしづか)のはな
〔自註〕二人靜は植物の名
[やぶちゃん注:「二人靜」被子植物門双子葉植物綱センリョウ目センリョウ科チャラン属フタリシズカ Chloranthus serratus。和名の「二人静」は二本の花序を謡曲「二人静」に於ける静御前と、その亡霊の舞姿に喩えたもの。参照した当該ウィキを見られたい。学名のグーグル画像検索もリンクさせておく。]
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