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2023/03/13

大手拓次譯詩集「異國の香」 螢(ラビンドラナート・タゴール)

 

[やぶちゃん注:本訳詩集は、大手拓次の没後七年の昭和一六(一九三一)年三月、親友で版画家であった逸見享の編纂により龍星閣から限定版(六百冊)として刊行されたものである。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」のこちらのものを視認して電子化する。本文は原本に忠実に起こす。例えば、本書では一行フレーズの途中に句読点が打たれた場合、その後にほぼ一字分の空けがあるが、再現した。]

 

   タゴオル

 

わが空想はほたるなり

闇にまばたく

うるはしき光の點點

 

みちのべのすみれのこゑは

心なきながしめをいざなはず

まばらにありて つぶやけるのみ

 

ほのぐらきうつらうつらの心のひまに

夢こそは その巢をつくれ

日の旅人のおとしゆきにしかけらもて

 

春は枝々に花びらをまきちらす

すゑの果(み)をむすぶにあらで

ひとときの移り氣に咲く花びらを

 

地のまどろみの手よりのがれたる悅びは

あまたたび 木の葉のなかに驅(か)けり入り

ひもすがら 空のかなたにをどるなり

かりそめの わがことのはも

としつきの波のうへにぞ かろやかにをどるなり

おもかりしわが難行(なんぎやう)の

いや果(は)つるとき

 

こころの底のかげろふは

うすきつばさの生(お)ふるがに

はや わかれわかれに舞ひゆけり

しづかなる ゆふべのそらヘ

 

胡蝶は月を敎へず

瞬間(またたき)の數をかぞへて

生(い)くる時ゆたかなり

 

[やぶちゃん注:「詩聖」と称されたラビンドラナート・タゴール(ベンガル語/ロビンドロナート・タクゥル ヒンディー語/ラビーンドラナート・タークゥル 英語/Rabindranath Tagore 一八六一年~一九四一年)はインドの詩人・思想家。一九一三年にはその詩集「ギタンジャリ」によってノーベル文学賞を受賞した(アジア人で初のノーベル賞受賞者)。詳しくは参照した当該ウィキを見られたい。本詩篇の原詩は、一九二八年に本人が自ら英訳して出版した詩集「蛍」(Fireflies:ニュー・ヨークのマックミラン社刊)の冒頭部である。「Internet archive」のこちらで英訳原本が視認出来る。英文原詩の相当箇所は以下である。そこでの本文はここから、ここまでの八連である。

   *

 

   Fireflies   Rabindranath Tagore

 

My fancies are fireflies,—

Specks of living light

twinkling in the dark.

 

The voice of wayside pansies,

that do not attract the careless glance,

murmurs in these desultory lines.

 

In the drowsy dark caves of the mind

dreams build their nest with fragments

dropped from day’s caravan.

 

Spring scatters the petals of flowers

that are not for the fruits of the future,

but for the moment’s whim.

 

Joy freed from the bond of earth’s slumber

rushes into numberless leaves,

and dances in the air for a day.

 

My words that are slight

may lightly dance upon time’s waves

when my works heavy with import have

gone down.

 

Mind’s underground moths

grow filmy wings

and take a farewell flight

in the sunset sky.

 

The butterfly counts not months but moments,

and has time enough.

 

   *

一部の連構成は勿論、訳もかなり拓次の確信犯で改変が行われている。但し、私は第三文明社刊の「タゴール著作集」の詩集部(二巻)を所持するが、そこで(第二版巻「詩集Ⅱ」一九八四年刊)の大岡信の訳を見るに、同じ版を訳したとすれば、それも、甚だ不審な箇所があって、原文に即するとなら、寧ろ、拓次の訳の方が腑に落ちたことを言い添えておく。]

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