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2023/03/27

大手拓次譯詩集「異國の香」 沈默の町(リヒャルト・デーメル)

 

[やぶちゃん注:本訳詩集は、大手拓次の没後七年の昭和一六(一九三一)年三月、親友で版画家であった逸見享の編纂により龍星閣から限定版(六百冊)として刊行されたものである。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」のこちらのものを視認して電子化する。本文は原本に忠実に起こす。例えば、本書では一行フレーズの途中に句読点が打たれた場合、その後にほぼ一字分の空けがあるが、再現した。]

 

  沈默の町 デーメル

 

町は谷のなかに橫はり、

靑白い日はうすれて亡ぴた。

さて、 月が消え、 星の光が失せるのも間もないだらう、

そして夜がただ空を滿すのだ。

 

山々の峯からは、

霧が出て町をとりまく、

畑も、 家も、 また濡れた紅い家根も

この厚い織物を通すことは出来ない。

いや、尖塔や橋でさへも出來はしない。

 

けれど、さすらひ人が身ぶるひするとき。

その暗い丘に

光りの條(すぢ)が彼の心を悅ばす、

そして、 烟と靄と子供らの聲から

讃美の歌がはじめられる。

 

[やぶちゃん注:作者については、前回の私の注を参照されたい。また、そちらと同じ理由で原詩は原詩は示さない。

「橫はり」「よこたはり」。]

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