原節子さんの夢 附 寺山修司歓談夢
昨日から今朝にかけて私の愛する原節子さんと映画で共演する夢を、まず、見た。
古い国鉄の電車の中で撮影が始まった。戦時中の空襲の直前のシーンだった。私は学生役であった。彼女は二十代後半と思われ、やはり美しく、そうして相手役の私に、終始、優しかった。
それが終わると、私は高校教師になっている。初任校の最上階の自分のクラスの「八組」で現代国語を教えていると、廊下のドアに影がさした。原節子さんであった。教室に入ると、
「病気に罹っているので、お暇に参りました。」
と私に言った。生徒たちは、その美しさに惹かれ、皆、教卓の前に集まって、彼女を質問攻めする。
私は彼女と二人になりたかったのだが、生徒がそうさせては呉れない。彼女は微笑みながら、眼に涙を浮かべ、階段を降りて行った――
私は「先生とあの人はどんな関係なの?」と詰め寄る生徒たちを振り切って玄関口へと走ったが、彼女の姿はなく、見知らぬ老爺が校門のところで私を待っていた。そうして、
「彼女は天に召されたよ……」
と言ってその姿も――ふっと――消えてしまった…………。
*
ここのところ、毎日夢を見ないことはないのだが、ほぼ一と月に一度、同じスパンで、超弩級の人物との夢を朝まで見る。
一月前は、寺山修司と酒を飲みながら、延々一夜、語り合い続ける夢だった。
私は批判的にではなく、彼の俳句や短歌や芝居が、何の剽窃かを指摘するのだが、彼は、それらを悉く、肯定するのだった。朝起きた時に、『あれとこれも言っておくべきだったな』と思ったが、ひどく清々しく感じたのを忘れない。
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