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2023/03/31

「續南方隨筆」正規表現版オリジナル注附 「南方雜記」パート 野生食用果實

 

[やぶちゃん注:「續南方隨筆」は大正一五(一九二六)年十一月に岡書院から刊行された。

 以下の底本は国立国会図書館デジタルコレクションの原本画像を視認した。今回の分はここから。但し、加工データとして、サイト「私設万葉文庫」にある、電子テクスト(底本は平凡社「南方熊楠全集」第二巻(南方閑話・南方随筆・続南方随筆)一九七一年刊)を使用させて戴くこととした。ここに御礼申し上げる。疑問箇所は所持する平凡社「南方熊楠選集4」の「続南方随筆」(一九八四年刊・新字新仮名)で校合した。

 注は文中及び各段落末に配した。彼の読点欠や、句点なしの読点連続には、流石に生理的に耐え切れなくなってきたので、向後、「選集」を参考に、段落・改行を追加し、一部、《 》で推定の歴史的仮名遣の読みを添え(丸括弧分は熊楠が振ったもの)、句読点や記号を私が勝手に変更したり、入れたりする。漢文脈部分は後に推定訓読を添えた。

 なお、この前にある「鄕土硏究一至三號を讀む」は、単発考証の集合体であるため、本書の最後に回して、分割して電子化することとした。

 

     野生食用果實 (大正二年六月『鄕土硏究』第一卷第四號)

 

 一八七七年初板「リュイス・エチ・モルガン」の「古代社會論」四章に、北米「イロクイス」族が全く耕稼《かうか》[やぶちゃん注:「耕作」に同じ。]を知なんだ時に、其發展に大必要だつた食料を擧《あげ》た。第一に、麪包根(カマツシユ)とて豆科の草根《くさのね》、丁度、吾國の窮民が豆科の「ほど」の根を食ふやうな物。第二に、夏中、諸《もろもろ》の漿果(ベリース)、多かつた。次に川に鮏《さけ》と介類と、斯《か》ふ揃つて居たので、「コロムビア」谷は穀物知らぬ民族の樂土だつた、と見える。吾邦にも、田畑無い處では、魚介鳥獸の外に、草木の根・葉・芽・莖から、皮までも、食《くつ》たに相違無い。其等《それら》草木の名は、故伊藤圭介翁が「救荒雜記」とか題して、官報へ出した物を見ると大抵分かると思ふ。

[やぶちゃん注:『「リュイス・エチ・モルガン」の「古代社會論」忌まわしい白人優位主義者であったアメリカの文化人類学者ルイス・ヘンリー・モーガン(Lewis Henry Morgan 一八一八年~一八八一年)の‘Ancient Society’ (一八七七年・ニュー・ヨークにて出版)。「Internet archive」で原本の“PART  IV”は“GROWTH  OF  THE  IDEA  OF  PROPERTY”(「所有権の概念の発達」)はここから。

『北米「イロクイス」族』イロコイ族(Iroquois:アメリカ・インディアンの言葉で「毒蛇」を意味する語と、フランス語の語尾を合成したもの)。アメリカ・インディアンの一種族で、北アメリカ東部森林地帯に居住し、十六世紀以後、五部族を統合し、政治的連合としての部族集団「イロコイ連邦(同盟)」を形成した。詳しくはウィキの「イロコイ連邦」を読まれたい。「イロコワ族」とも呼ぶ。

「麪包根(カマツシユ)とて豆科の草」熊楠はマメ科(被子植物門双子葉植物綱マメ目マメ科 Fabaceae)と言っているが、全く違って、アスパラガスの仲間である。単子葉植物綱キジカクシ目キジカクシ(クサスギカズラ)科 Agavoideae亜科カマッシア属Camassia(タイプ種カマッシア・クアマッシュCamassia quamash)である。北アメリカ原産で、同属は湿った牧草地に自生する。英文のタイプ種のウィキによれば、カマッシア属の種の球根は、ローストしたり、煮たりすると、食用になり、栄養価も高くなる旨の記載があった。カマッシアが食用になることは、邦文の花言葉情報サイト「華のいわや」の「「カマッシア」の花言葉とは?花言葉を徹底解説」の中にも書かれてあり、『「カマッシア」の和名はヒナユリ(雛百合)といいます』。『雛は雛人形を表し、人形が使うサイズのような小さいものに一般的に付く言葉で、「カマッシア」の場合は花の小ささから付いたものです』。『「カマッシア」というのは、アメリカ先住民のチヌーク族が「カマス」「カマッシュ」と呼んでいた事から付いた名前です』。『現地では低湿地に群落を形成し、草原全体が花の色で染まるそうです』。『ユリ科に共通する鱗状の球根は、有毒ですが』、『デンプン質で甘味があるため、貴重な食糧や非常食として利用されました』。『毒の処理が必要で農薬も使われている事から、実際に食べるのはやめましょう』と注意書きがあった。

「漿果(ベリース)」“berry”(ベリー)の複数形“berries”の音写。小さく多肉質・多汁質で、しばしば、食用とされる果実のこと。

「鮏」硬骨魚綱サケ目サケ科サケ属サケ(シロザケ)Oncorhynchus keta 。北太平洋と北極海の一部を棲息地とする。

「介類」アメリカの淡水貝には詳しくないが、古異歯亜綱イシガイ目 Unionoidaの内の大型二枚貝類であろう。英文ウィキの「Unionida」を見て戴くと判るが、長い年月、真珠層を得るために多量に漁獲されてしまった結果、北米では、同目の七十%が絶滅し、残りの種も絶滅が危惧されるまで個体数が減っている。但し、そちらにもある通り、淡水真珠を得るために養殖で増やすことに成功した種もある。それほど旨くはないと思うが、インディアンたちは食用にしたであろう。

『「コロムビア」谷』カナダのブリティッシュコロンビア州およびアメリカ合衆国太平洋岸北西部を流れる、カナディアン・ロッキーに源を発するコロンビア川(Columbia River)の形成した非常に規模の広い峡谷。川自体は、ウィキの「コロンビア川」を参照されたいが、『ザ・ダルズとポートランドの間で、コロンビア川はカスケード山脈を横断し、雄大なコロンビア川峡谷を形作る』とある。また、そこには、かの「マンハッタン計画」以来、半世紀間に亙って『操業したハンフォード・サイトのプルトニウム生産炉による放射能汚染が深刻な問題となっている』とあった。別にウィキの「コロンビア川峡谷」Columbia River Gorge)があり、そこのこの地図で狭義の峡谷の位置が判る。

「伊藤圭介」理学博士で男爵の伊藤圭介(享和三(一八〇三)年~明治三四(一九〇一)年)。幕末から明治期に活躍した植物学者で、「雄蘂」「雌蘂」「花粉」といった植物学用語を創ったことでも知られる。詳しくは、「日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第四章 再び東京へ 16 本草学者伊藤圭介との邂逅」の私の注を見られたい。「救荒雜記」不詳。しかし熊楠は「とか題して」と言っているので、これは思うに、「救荒食物便覽」(天保八(一八三八)年述・門人二人による編)のことではないか。思ったより、簡便な表形式のものである。国立国会図書館デジタルコレクションのこちらで見られる。]

 紀州では到る處、今も小兒が「椎、櫧《かし》、柴の實、くへぬ物はどんぐり」と唱へて遊ぶ。蒙昧の代《よ》に、親子、森林に食料果實を求むる時、斯樣な句を唱へて子供に訓《をし》へた遺習であらう。二年前、既《すんで》の事、伐《きら》るゝ處を、予が其筋と公衆に訴へて漸く免れた那智瀧の水源、寺山《てらやま》も、「紀伊續風土記」卷八十に、『其廣さ、大抵、二里四方と云ふ。四十八瀧、多く寺山の内に在り、且つ、此處、一の瀧の源なれば云々、其區域、廣大なるに、他木を植《うゑ》ずして、一面に樫木ばかりを植たり。其故は、樫木は、冬、凋《しぼ》まざる故、四時、鬱蓊《をううつ》[やぶちゃん注:「鬱蒼」に同じ。]として靈山の姿を表《あらは》すべく、且つ、瀧の源水を蓄ふるに宜しくして、材木の用に非ざれば、伐り荒らす害、無し(所が、近時、樫も、其材、用、多く、價格、出で來り、種種《いろいろ》、奸計して伐悉《きるつく》さうとする事と成《なつ》て來た)。從來、色川《いろがは》の村々は、山中に栖《すん》で、食物の乏《とぼし》きを憂ひ、山稼《やまかせ》ぎを專らにする者なれば、年々、寺山にて樫の實を拾ひて、食料の助けとす。大抵、家每に拾ひ得る事、十俵より十五俵に至るを常とす。鄕中の所得を考《かんがふ》るに、一歲の總高、千二、三百石に至ると云ふ。然《しか》れば、材木の用を成《なさ》ざれども、食料となる事、大なる益と言ふべし。」と出づ。

[やぶちゃん注:「椎」ブナ目ブナ科シイ属 Castanopsis の樹木、或いは、近縁のブナ科マテバシイ属マテバシイ Lithocarpus edulis かも知れぬ。

「櫧」「樫」に同じ。ブナ目ブナ科 Fagaceae の常緑高木の一群の総称。ウィキの「カシ」によれば、狭義にはコナラ属Quercus中の常緑性の種をカシと呼ぶが、同じブナ科でマテバシイ属のシリブカガシもカシと呼ばれ、シイ属 Castanopsis も別名でクリガシ属と呼ばれる。この類は渋み成分のタンニン類が含まれているため、灰汁抜きが必要である。

「柴の實」ツツジ目ツツジ科スノキ(酢の木)亜科スノキ属アクシバ(灰汁柴) Vaccinium japonicum 。果実は直径五ミリメートル球状の液果で、赤色に熟す。食用になる。

「どんぐり」広義にはブナ科の果実の俗称で、狭義にはクリ・ブナ・イヌブナ以外のブナ科の果実、最狭義にはブナ科のうち特にカシ・ナラ・カシワなどコナラ属樹木の果実の総称を指す。但し、灰汁抜きをすれば、所謂、「どんぐり」類は食用になる。縄文時代から食されてきた。

「寺山」これは以下の「紀伊續風土記」の引用の引用前の部分に、『寺山は那智山の奥の總名にして鎌は那智境内四至の外にもあり。』とある。「ひなたGPS」で戦前の地図を見ても、「寺山」という地名自体は見当たらない。

『「紀伊續風土記」卷八十に、……』国立国会図書館デジタルコレクションの同書の活字本の「第三輯」の「牟婁 物産・古文書・神社考定」(仁井田好古 等編・明治四三(一九一〇)年帝国地方行政会出版部)のこちら(「牟婁郡第十二」の「色川鄕」の「○寺山樫ノ木」の条の一節。ここの右ページ上段の二行目以降で視認出来る

「色川の村々」先と同じ「ひなたGPS」で戦前の地図を参照されたい。東端に『色川村』が確認出来る。現在は、那智山の北西部に和歌山県東牟婁郡那智勝浦町口色川くちいろがわ)として名が残る(グーグル・マップ・データ)。]

 扨、問(一七)[やぶちゃん注:「選集」に編者割注があり、「『郷土研究』一巻三号」とある。]の質問者が知つて居ると云ふ栗と椎(と「まてば椎」)の外に、山の中で食べる樹の實、予が知た丈《だけ》を爰《ここ》に錄す。?を附したのは、予が試みに食《くつ》て何の害も無《なか》つたが、果して他人も食ひ得るか分らぬ物だ。又、喬木に限らず、灌木・亞灌木・木質の蔓生、又、攀緣《はんえん》、又、匍匐植物の實も名を出《いだ》す。

[やぶちゃん注:「攀緣」崖や樹木の幹に絡みついたり、附着する形でそれらを登攀する植物群を指す。]

 其名に云《いは》く、かや、いちい、まき、てうせん松、くるみ、やまもゝ、はしばみ、つのはしばみ、ぶな、いぬぶな(?)、かしは、くぬぎ、こなら、其他、櫧《かし》屬數種、むく、えのき、桑、いぬびは、くわくわつがゆ、やなぎいちご、つくばね、あけび、みつばあけび、むべ、めぎ(?)、やしほ、さくら、いぬざくら、うわみづざくら、ふゆ苺、かぢ苺、くま苺、あは苺、なはしろ苺等の木本苺、かまつか、うらじろのき、びわ、しらき、がんかうらん、とち、なつめ、けんぽなし、がねぶ、のぶだう(紀州鉛山《かなやま》温泉邊で、此果を「藤次郞」と呼び、「之を食ふと、齒、落ちる。」と云ふ。和歌山市でも、齒無き人を、「齒拔け藤次郞」と嘲稱す)、さんかくづる、ひさかき(?)、さるなし、またゝび、みやままたゝび、ぐみ數種、やまぼうし、あくしば、いはなし、こけもゝ、つるこけもゝ、あかもの、くろまめのき、しらたまのき、しやしやんぼ、くこ、にわとこ(?)、がまずみ、うぐひすかずら。先づ、こんな物ぢや。

[やぶちゃん注:やって呉れちゃいましたね、熊楠先生。おう! 受けましょうぞ!!!

「かや」榧。裸子植物門マツ綱マツ目イチイ科カヤ属カヤ Torreya nucifera当該ウィキによれば、『種子は食用となり、焙煎後の芳香から「和製アーモンド」と呼ばれることもある』。『生の実はヤニ臭くアクが強いので、数日間アク抜きしたのち煎るか、クルミのように土に埋めて果肉を腐らせて取り除いてから蒸して食べる。あるいは、灰を入れた湯で茹でるなどしてアク抜き後に乾燥させ、殻つきのまま煎るかローストしたのち殻と薄皮を取り除いて食すか、アク抜きして殻を取り除いた実を電子レンジで数分間加熱し、薄皮をこそいで実を食す方法もある』。古くは『カヤの実には戦場のけがれを清浄なものにする力があるといわれ、武士が凱旋した際には搗栗(かちぐり)とともに膳に供えられた』とあった。私も食したことがある。以下、私が食べたことがある場合は文末に「◎」を添え、食べたことがないものには「✕」を添える。

「いちい」櫟。裸子植物門イチイ綱イチイ目イチイ科イチイ属イチイ Taxus cuspidata 当該ウィキによれば、『果肉を除』いて、『葉や植物全体に有毒』の『アルカロイドのタキシン(taxine)が含まれて』おり、『種子を誤って飲み込むと』、『中毒を起こす。摂取量によっては痙攣を起こし、呼吸困難で死亡することがあるため注意が必要である』が、『果肉は甘く』、『食用になり、生食にするほか、焼酎漬けにして果実酒が作られる』。『アイヌも果実を「アエッポ(aeppo)」(我らの食う物)と呼び、食していたが、それを食べることが健康によいという信仰があったらしく、幌別(登別市)では肺や心臓の弱い人には進んで食べさせたとされ、樺太でも脚気の薬や利尿材として果実を利用した』とある。◎。

「まき」真木。裸子植物門マツ綱マツ目マキ科 Podocarpaceae の複数の種を指すが、「マキ」という種は存在しないウィキの「マキ科」によれば、『マキ属』(Podocarpus:マキ科の中でも最大のグループで百種余りを含む。イヌマキ(Podocarpus macrophyllus)が日本にも分布する)『のイヌマキ』『の果実には少量なら食べられるものもあるが、一般に種子は細胞毒性を持ち』、『有毒である。葉や花粉も有毒で、これらはイチイ科』(Taxaceae:櫟は前揭)『にも共通である。特に花粉はアレルギーの原因となることがあるとされる。毒成分の一つがラクトン類であり、生薬として利用されることもある』とある。✕。

「てうせん松」「朝鮮松」はマツ目マツ科マツ属 Strobus 亜属 Cembra 節チョウセンゴヨウ(朝鮮五葉) Pinus koraiensisの異名。種子は、所謂、「松の実」として利用される。◎。

「くるみ」胡桃。双子葉植物綱ブナ目クルミ科クルミ属 Juglans 。本邦に自生するクルミ属マンシュウグルミ変種オニグルミ(鬼胡桃)Juglans mandshurica var. sachalinensis や同じく変種ヒメグルミJuglans mandshurica var. cordiformisは、実が小さく、殻が割り難いが、縄文時代以来、食用にされている。◎。

「やまもゝ」山桃。ブナ目ヤマモモ科ヤマモモ属ヤマモモ Morella rubra 。◎。私の好物である。勤務した横浜翠嵐高校の正面の二階教室寄りに何本も植わっていて、テラスに実が溜まって、自然発酵し、甘ったるい酒のようなそれが、よく匂ってきたものだった。

「はしばみ」榛。ブナ目カバノキ科ハシバミ属ハシバミ変種ハシバミCorylus heterophylla  var. thunbergii 。国産のハシバミの実は「和製ヘーゼルナッツ」とか、「国産ヘーゼルナッツ」などと呼ばれ、流通している。◎。

「つのはしばみ」角榛。ハシバミ属ツノハシバミ変種ツノハシバミCorylus sieboldiana var. sieboldiana 当該ウィキによれば、『堅果は黄褐色に熟したら食用になる。果実を採取し、刺毛に気をつけながら』、『総苞を剥いて』、『堅果を取り出し、堅果の殻から取り出したナッツを食用にする。脂肪に富み美味で、渋みがなく』、『生でも』、『煎っても食べられ』、『茶碗蒸しや煮物、すり潰して』、『和え物や菓子などの原料にも用いられる』とある。山奥の温泉宿に行った際に、料理として出たのを食べた経験がある。◎。

「ぶな」「椈」或いは「橅」。ブナ目ブナ科ブナ属ブナ Fagus crenata当該ウィキに、『果期は秋』(十 月から十一月)』で、『果実は総苞片に包まれて』十月頃に『成熟し』、『その殻斗が』四『裂して散布される。果実(堅果)は』二『個ずつ殻斗に包まれて』おり、『断面が三角の痩せた小さなドングリのような』形態を持つ。『しかし』、『中の胚乳は渋みがなく』、『脂肪分も豊富で美味であり、生のままで食べることができる。なお、ブナの古名を「そばのき」、ブナの果実を「山そば」「そばぐり」というのは、果実にソバ(稜角の意の古語)がある木、山で採れるソバ、ソバのある栗の意である』とある。私は教師時代の初め、ワンダー・フォーゲル部の顧問をしていた頃、先輩教師が教えてくれ、食したことがある。◎。

「いぬぶな(?)」犬椈。ブナ属イヌブナ Fagus japonicaサイト「GKZ植物事典」の同種のページに、『属名は、ギリシャ語で「食べる」の意』で、『ヨーロッパでは果実を食用』とし、『また、家畜の飼料にも用いたことによる』とあった。✕。

「かしは」柏。ブナ科コナラ属コナラ亜属コナラ族 Mesobalanus 節カシワ Quercus dentata 。サイト「森と水の郷あきた」(あきた森づくり活動サポートセンター編)のこちらに、本種を『救荒植物の一つ』と題して、『ナラ類のドングリと並び、飢饉の際の救荒植物として利用された。ただし、タンニンを含むため渋いので、渋抜きしないと食べられない。実は粉に挽き団子にして食べたり、炒ってコーヒーの代用にもされた』とある。葉はお馴染みだが、実の方は食べたことはない。✕。

「くぬぎ」漢字は「櫟」(先に出たイチイと同じだが、全くの別種)の他「椚」「橡」(トチノキ(後掲)と同じだが、全くの別種)「椚木」などと書く。ブナ科コナラ属クヌギ Quercus acutissima当該ウィキによれば、狭義には「ドングリ」は、この『クヌギの実を指』し、『地方によってはクヌギのことを、ドングリノキ』と呼ぶとあり、『実は爪楊枝を刺して独楽にするなど』、『子供の玩具として利用される』。『また、縄文時代の遺跡からクヌギの実が土器などともに発掘されたことから、灰汁抜きをして食べたと考えられている』とある。私はとある縄文体験学習で、灰汁抜きしたそれを食したことがある。◎。

「こなら」小楢。ブナ科コナラ属コナラ Quercus serrata。本種はタンニンが多く含まれ、渋みが強く、流水で晒したり、灰汁とともに煮沸するなどの手を加えないと食せないと、「東京学芸大学」公式サイト内の「『学芸の森』植物情報」の同種のページの解説にあった。✕。

「櫧屬」「選集」のルビを参考に添えたが、この単漢字は、教義にはコナラ属アカガシ亜属 Cyclobalanopsi アカガシ(赤樫) Quercus acuta を指すから、ルビは「あかがし」が正しいことになろうか。当該ウィキには、『果実は堅果、いわゆる「どんぐり」で、殻斗に褐色の毛があり、翌年の秋に熟すと食べられる』とあるが、食用した記憶はない。✕。

「むく」双子葉植物綱バラ目アサ科ムクノキ属ムクノキ Aphananthe aspera 。当該ウィキによれば、『果期は』十月頃で、『熟すと』、『黒紫色になり、乾燥して食用になり、味は非常に甘く美味である』とある。山間の土産物として買って食したことがある。◎。

「えのき」榎。バラ目アサ科エノキ属エノキ Celtis sinensis 。身近な木だが、実を食したことはない。調べると、サポニン(saponin)を含むので、ちょっとやめた方がよさそうだ。✕。

「桑」バラ目クワ科クワ属 Morus であるが、本邦の山に多く自生するのは、ヤマグワMorus bombycis 。私の大好物。「どどめ」と呼ばれるそれを、小さな頃は裏山でとって食べたのを思い出す。美味いけれど、唇や舌が強力な紫色に染まり、習合果の粒々の間の毛が、舌にイライラしたのものだった。◎。

「いぬびは」犬枇杷。バラ目クワ科イチジク連イチジク属イヌビワ Ficus erecta var. erecta 。果嚢は甘く、食用になる。少年時代、鹿児島の母の実家(鹿児島県曽於市大隅町岩川。グーグル・マップ・データ航空写真。私の祖父はこの中央にあった志布志線岩川駅前で歯科医を開業していた)に行った際、山で採って食べた。美味かった。◎。

「くわくわつがゆ」現代仮名遣では「かかつがゆ」で「和活が柚」と書く。クワ科ハリグワ属カカツガユMaclura cochinchinensis 。小学館「日本大百科全書」によれば、『別名ヤマミカン。大きなものは高さ』十『メートル、径』十『センチメートルにもなる。枝や葉は乳液を含む。葉腋(ようえき)に長さ約』一・五『センチメートルの刺(とげ)を生じ、刺は針状か』、『逆さに曲がって』鈎針(かぎばり)状を成す。『葉は互生し』、『柄があり、長楕円』『形ないし倒卵形で長さ』は四~七『センチメートル、全縁で薄い革質』を呈する。『球形の頭状花序は』一~二『個で腋生し、雌雄異株。集合果は径約』二『センチメートル、黄色に熟し』、『若葉とともに生食できる。材や根は黄色染料とする。本州南西部から四国、九州、沖縄の丘陵地に生え、東南アジア、インド、オーストラリア、東アフリカに分布する』とあった。正直、この和名自体を聴いたことがなかった。✕。

「やなぎいちご」柳苺。バラ目イラクサ科ヤナギイチゴ属ヤナギイチゴ Debregeasia orientalis 。小さな頃、「木苺(きいちご)」と呼び、裏山でクワの実と同じく、よく食べたものだったが、最近はとんと見ない。◎。

「つくばね」衝羽根。双子葉植物綱ビャクダン目ビャクダン科ツクバネ属ツクバネ Buckleya lanceolata当該ウィキに、『果実』の写真が載り、そのキャプションに『落下する時、羽根つきの羽根のようにクルクル回転する』とあるのが、和名の由来である。解説には『若葉は食用にできる。また若い果実も塩漬けにして食用にできる』とあるが、私は食したことはない。✕。

「あけび」木通。キンポウゲ目アケビ科アケビ属アケビ Akebia quinata 。小学生時代、向かいの寺のイチョウの木に、沢山、成った。寺の敷地にあった長屋に住んでいた、私を可愛がってくれたお兄さんが、季節(九~十月)になると、次のミツバアケビを含めて、沢山、採ってきて呉れた。私の大好物だったが、今、スーパーで売られているのを見ると、私は、何だか淋しい気がして、一度も買ったことがない。少年期の至福が壊される気がするからであろうか。

「みつばあけび」三葉木通。アケビ属ミツバアケビ Akebia trifoliata 当該ウィキによれば、『アケビよりいくらか山奥に生え』、『アケビに比べて育成地域が広く、荒れ地や乾燥地でも旺盛に繁殖する』。『果実がアケビよりも大きくなることから』、『果樹としても栽培される』とあった。今、売られているのは、こちらか。◎。

「むべ」郁子。野木瓜とも書く。アケビ科ムベ属ムベ Stauntonia hexaphylla 。昔、教員の大先輩が農家の出で、家で成ったものを頂戴したことがある。アケビと同じで、甘いのだが、種がやたらに多かった。◎

「めぎ(?)」目木。キンポウゲ目メギ科メギ属メギ Berberis thunbergii 。当該ウィキの画像を見ると、山でよく見かけたことはあるが、見るからに、ちょっと食指が動かなかった。✕。

「やしほ」「八潮」で、双子葉植物綱ビワモドキ亜綱ツツジ目ツツジ科ツツジ属 Rhododendron のヤシツツジ類(アカヤシオRhododendron pentaphyllum var. nikoense・シロヤシオRhododendron quinquefolium・ムラサキヤシオツツジRhododendron albrechtiiの総称)か? 花は孰れも山行で見かけたことはあり、蜜を吸ったことならあるが……調べて見ると、ツツジ類は花が食用花となるらしい。✕。

「さくら」桜。双子葉植物綱バラ亜綱バラ目バラ科サクラ亜サクラ属 Cerasus 若しくはスモモ属 Prunus亜属(上位分類をスモモ属とした場合)サクラ亜属  Cerasus のサクラ類となるが、普通の日本人なら、ソメイヨシノ(染井吉野)Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’を想起する(同種は♀を本邦に自生するエドヒガン(江戸彼岸)Cerasus itosakura と、♂を日本固有種のオオシマザクラ(大島桜)Cerasus speciosaの雑種とする自然交雑若しくは人為的な交配で生まれた日本産の栽培品種である)。ここは塩漬けの花(桜湯・桜茶)や葉を指して挙げているものと思われるが、葉の場合は、オオシマザクラが適切とされ(芳香成分クマリン(coumarin)が他の種では発生し難いことによる)、花のそれは、花びらの重なりが多いカンザン(関山:Cerasus Sato-zakura  Sekiyama)がよいとされる。因みに、ソメイヨシノは葉も花も旨味はないという。以上の加工品なら、◎である。小学生の頃、学校のソメイヨシノの実をふざけて食べたが、甚だ不味かった。その点でも◎ではある。

「いぬざくら」犬桜。サクラ属イヌザクラ Prunus buergeriana個人ブログ「風の囁き」の「ウワミズザクラとイヌザクラの実」に、本種は『熟すと』、『黒紫色になり』、『果肉には苦みがある。果実酒には向かないのでは?と思います』とあるから、アウトだろう。✕。

「うわみづざくら」上溝桜(うわみずざくら)。バラ科ウワミズザクラ属 Padus 若しくはサクラ属 PrunusウワミズザクラPadus grayana 若しくは Prunus grayana 。同前の記事で、『黒く熟し』、『食べられる。果実酒にすると』、『香りと色が良い』とあるから、OKで、当該ウィキにも、『香りのよい、若い花穂と未熟の実を塩漬にしたものは杏仁子(あんにんご)と』称し、『新潟県を中心に食用とされる』。『また、黒く熟した実は果実酒に使われる』とあった。今度、新潟へ行ったら、探してみよう。✕。

「ふゆ苺」冬苺。バラ亜科キイチゴ属フユイチゴ Rubus buergeri 。山行で採って食べた。◎。

「かぢ苺」現代仮名遣「かじいちご」。「溝苺」「梶苺」。キイチゴ属カジイチゴ Rubus trifidus当該ウィキの写真を見たところ、どこかの家の庭で見かけたことはある。そちらに実が食用となるとあった。✕。

「くま苺」熊苺。キイチゴ属クマイチゴ Rubus crataegifolius 当該ウィキによれば、『茎は』一~三メートルに『に達し、直立するか傾斜する』。『キイチゴ属の中では大型な』種で、『茎は赤紫色で赤黒っぽい斑点があり、毛がなくて刺が多い。葉には長さ』二~五センチメートルの『葉柄があり』、『鉤形の刺をもつ。葉身は広卵形でややモミジ状に裂け、表面には伏毛があり、裏面の葉脈には』これまた、『刺がある』とあり、『果実は』六『月ごろに赤く熟し』、『食用になる』とある。そして、『丈夫な茂みを形成するので、このヤブに入り込むと痛いめに遭う』ともあった。私も、少年時代、裏山で、実を採ろう入り込んで、コヤツにイタい経験をさせられたものであった。◎。

「あは苺」泡苺。キイチゴ属ナガバモミジイチゴ変種モミジイチゴ Rubus palmatus var. coptophyllus の異名。木苺の定番。僕らは「黄いちご」と呼んでいた。文句なしに美味い。◎。

「なはしろ苺」苗代苺。キイチゴ属ナワシロイチゴ Rubus parvifolius 。当該ウィキに、『花期は』五=六月で、『日当たりの良いところに生え、雑草的に生育する。赤紫色の花をつける。果実は食用になり、生食には向かないが、砂糖を加えてジャムにすると美味』とある。『苗代の頃に赤い実が熟すため、この名がある』とあった。見たことはあるものの、ジャムにしたことはないから、✕。

「木本苺」イチゴ類の中で、「木本(もくほん)」類に分類される「苺」、以上のキイチゴ属  Rubus の総称。以上の種以外も載る、渡辺坦氏のサイト「植物の名前を探しやすい デジタル植物写真集」の「イチゴ類(バラ科)」を参照されたい。但し、それらが総て食用になるかどうかは、関知しない。

「かまつか」鎌柄。バラ科ナシ亜科カマツカ属カマツカ Pourthiaea villosa 当該ウィキには、『材を鎌の柄に用いたことによりこの名があるという』とあり、『果実は梨状果で長さ』七ミリから一センチ『ほどの倒卵形』で、『明瞭な果柄があり』、『秋から晩秋に赤色に熟す』。『果実は少し甘酸っぱく食用になるが』、『通常』、『あまり美味しいものではない』とある。✕。

「うらじろのき」裏白の木。ナシ亜科アズキナシ属ウラジロノキ Aria japonica 。複数の記載で『実は生で食べられる』とある一方、『じゃりじゃりしていて食用には向かないよう』だともあった。山で見たことがあるが、その実はちょっと食欲をそそらなかったので、食べたことはない。✕。

「びわ」枇杷。ナシ亜科ビワ属ビワ Eriobotrya japonica 。◎。

「しらき」白木。双子葉植物綱類キントラノオ目トウダイグサ科トウダイグサ亜科ヒッポマネ連 Hippomaneaeヒッポマネ亜連シラキ属シラキ Neoshirakia japonica サイト「庭木図鑑 植木ペディア」の本種のページに、『種』(たね)『には脂分が多く、食用、灯油などに使用できる』とあった。✕。

「がんかうらん」現代仮名遣「がんこうらん」。「岩高蘭」。ツツジ科ツツジ亜科ガンコウラン属セイヨウガンコウラン変種ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum 当該ウィキによれば、『日当たりの良い高山の岩場や海岸近くに生育』し、『果実は径』六ミリから一センチの『黒い球形で、食べられる。集めてジャムなどにする人もいる。果実はビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富である。果実は鳥のえさともなっている』とあった。山で見かけたことはあるが、食べたことはない。✕。

「とち」栃。双子葉植物綱ムクロジ目ムクロジ科トチノキ属トチノキ Aesculus turbinata 。種子は、灰汁抜きをして、「栃餅」などを作って食用にする。食用の歴史は古く縄文時代からある。◎。

「なつめ」棗。バラ目クロウメモドキ科ナツメ属ナツメ Ziziphus jujuba var. inermis 当該ウィキによれば、『南ヨーロッパ原産』とも、『中国北部の原産とも』され、『日本への渡来は奈良時代以前とされて』おり、六『世紀後半の遺跡から果実の核が出土している』とある。◎。

「けんぽなし」玄圃梨。バラ目クロウメモドキ科ケンポナシ属ケンポナシ Hovenia dulcis 。当該ウィキに、『秋に直径』七『ミリメートル』『の果実が黒紫色に熟』し、『同時にその根元の果柄部が同じくらいの太さにふくらんで』、『ナシ(梨)のように甘くなり』、『食べられる』とある。山の帰りに、東北の山村で食べさせて貰ったことがある。◎。

「がねぶ」「紫葛」と漢字を当てるようである。ブドウ目ブドウ科ブドウ属ヤマブドウ Vitis coignetiae の異名。小学生の頃は、裏山で、よく食べたものだった。◎。

「のぶだう」野葡萄。ブドウ科 Vitoideae 亜科ノブドウ属アンペロプシス・グランデュロサ Ampelopsis glandulosa 変種ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla 。食ったことがあるが、正直、不味い。◎。

「紀州鉛山温泉」現在の白浜温泉の前身ここの「白良浜」のある湾を鉛山湾(かなやまわん)とある(グーグル・マップ・データ)。サイト「エコナビ」の「温泉を巡る」の布山裕一氏の記事「009 南紀白浜温泉へ」の「白浜の名称と発展」の項に、『江戸時代には、紀州徳川家の人々の来湯が記録されていますが、当時温泉が湧いていたのは鉛山(かなやま)村の湯埼地区で「湯埼七湯」と呼ばれ、白浜という名前はありませんでした。明治時代になると鉛山村は隣接する瀬戸村と合併し、瀬戸鉛山村となります。旧瀬戸村地区では明治時代の末頃から温泉が開発されはじめ、大正時代初期に温泉開発を進めた会社の社名にはじめて「白浜」という名前がつきます。これは、鉛山(かなやま)湾に面した美しい砂浜である「白良浜(しららはま)」の略称ですが、以後「白浜」という名称が広がったと言われています』昭和一五(一九四〇)『年には瀬戸鉛山村が町制を施行して白浜町となりました。古賀浦や文殊など』、『町内各地で温泉開発が進められ』、『白浜温泉は大きく発展していきます。海岸を中心に高台に及ぶまで旅館・ホテルや保養所そして温泉入浴施設や足湯が点在し和歌山県最大の温泉地となっています。なお、千葉県にも白浜という地名があることから、南紀白浜と呼ばれるようになりました。温泉地のすぐ傍に空港が設置されており、空港名は南紀白浜空港となっています』とある。「ひなたGPS」の戦前の地図で、現在の和歌山県西牟婁郡白浜町に『瀨戶鉛山村』と『鉛(カナ)山』に並置して『(湯崎)』が確認出来る。

「さんかくづる」三角蔓。ブドウ科ブドウ属サンカクヅルVitis flexuosa 。「Weblio 辞書」の「植物図鑑」の同種の解説に、『わが国の本州から四国・九州、それに朝鮮半島や中国に分布しています。山地の林縁などに生え、他の樹木などに絡みついて伸びます。葉は三角形から卵状三角形で互生し、縁には歯牙状の浅い鋸歯があります。雌雄異株で』、五『月から』六月頃、『葉と対生して円錐花序をだし、小さな淡黄緑色の花を咲かせます。果実は液果で』、『黒く熟し、食べることができます。蔓を切ると』、『わずかに甘い樹液がしみ出てくることから、別名で「ぎょうじゃのみず(行者の水)」とも呼ばれます』とあった。見かけたことはあるが、食べたことはなかった。✕。

「ひさかき(?)」姫榊。ツツジ目モッコク科ヒサカキ属ヒサカキ変種ヒサカキ Eurya japonica var. japonica 。花がガスのような臭い匂いがする厭な木という認識しかなかったが、サイト「苗木部」の「ヒサカキの特徴と育て方」によれば、『主に神事で使われる切花の代用として用いられますが、葉に光沢があり』、『美しく常緑樹なので、庭木や生け垣としてもよく使われています』。『寒い地域では榊(サカキ)が生育しないため、ヒサカキを代用として用いることもあります。地域によっては仏壇に供える枝ものでも利用されます』。『春には小さくて目立たないですが、クリーム色のスズランに似た釣り鐘状の花を咲かせます。稀にピンク色の花が咲くことがあります。花は独特の強い匂いがあります』。『雌雄異株もしくは両性花を咲かせる株もいます。雄株以外には秋になると黒い果実が実ります。種』(たね)『が多いので食用には向きませんが、果汁が多く』、『熟すと』、『甘いです。野鳥が好む果実です』とあった。なお、そちらには、『中国原産のツバキ科の常緑樹』とあるが、当該ウィキを見たところ、注釈に、『新しいAPG体系ではモッコク科(サカキ科)であるが、古い新エングラー体系やクロンキスト体系ではツバキ科(Theaceae)としていた』とあったので不審解消。熊楠先生、大丈夫! 食べられます。✕。

「さるなし」猿梨。ツバキ目マタタビ科マタタビ属サルナシ変種サルナシActinidia arguta var. arguta 当該ウィキによれば、『果実はキウィフルーツを無毛にしてかなり小さくしたような楕円形で、淡緑色の』二~三センチメートル『程度のものに熟する』。『果実の味はキウィフルーツに似ている(系統上の近縁種である)』とある。◎。

「またゝび」「木天蓼」。「もくてんりょう」とも読む。ツバキ目マタタビ科マタタビ属マタタビ  Actinidia polygama 。◎。

「みやままたゝび」深山木天蓼。マタタビ属ミヤママタタビ Actinidia kolomikta 。✕。

「ぐみ數種」茱萸(ぐみ)。バラ目グミ科グミ属 Elaeagnus 。◎。

「やまぼうし」山法師。双子葉植物綱ミズキ目ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属ヤマボウシ Cornus kousa subsp. kousa 当該ウィキに、『果実が食用になり』、『クワの実に見立てたことから、別名でヤマグワとよぶ地域も多』いとあり、『若葉は食用にな』り、『果実は生食でき』、『やわらかく』、『黄色からオレンジ色』を呈し、『マンゴーのような甘さがある。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感がある。果実酒にも適する』とある。本種は花が美しい。東北の温泉の土産に葉を買ったことがある。結構、気に入った。◎。

「あくしば」灰汁柴。ツツジ目ツツジ科スノキ亜科スノキ属アクシバ Vaccinium japonicum 。これも花が何とも言えない形をしていて、好きだ。当該ウィキに『果実は食用になる』とあるが、食べたことはない。✕。

「いはなし」岩梨。双子葉植物綱ビワモドキ亜綱ツツジ目ツツジ科イワナシ属イワナシ Epigaea asiatica 当該ウィキに、果実は『ナシのような甘味があり、食用になる』とあった。✕。

「こけもゝ」苔桃。ツツジ科スノキ亜科スノキ属コケモモ Vaccinium vitis-idaea 。問題があるので、どことは言わないが、山行の途中で見つけ、食べたことがある。美味い。◎。

「つるこけもゝ」蔓苔桃。スノキ属ツルコケモモ亜属ツルコケモモ Vaccinium oxycoccos 当該ウィキに、『クランベリーとして食用にされる』とある。◎。

「あかもの」赤物。ツツジ科シラタマノキ属アカモノ Gaultheria adenothrix当該ウィキに、『花が終わると』、『萼が成長し、果実を包み込み、赤色の偽果となる。この偽果は食用になり、甘みがあり』、『おいしい。名前は赤い実から「アカモモ(赤桃)」と呼ばれ、これが訛って付けられたといわれる』とあった。う~ん、食べられるのか! 山行の途中で見たことはあったが、赤がかなり強くて、食えなかったわ。✕。

「くろまめのき」黒豆の木。ツツジ目ツツジ科スノキ亜科スノキ属クロマメノキ Vaccinium uliginosum当該ウィキに、『果実は食用になる。長野県ではアサマブドウとして食用にされる』とある。これは食べて見たい。✕。

「しらたまのき」白玉の木。ツツジ科シラタマノキ属シラタマノキ Gaultheria pyroloides 。花が好きだが、実は食べたことがない。但し、当該ウィキによれば、『果実は甘味はあるが』、『サリチル酸の臭いがするため』、『生食には向かず、果実酒にされる』とあった。✕。

「しやしやんぼ」現代仮名遣「しゃしゃんぼ」で「小小坊」。「南燭」とも書く。ツツジ科スノキ属シャシャンボ Vaccinium bracteatum当該ウィキに、『漢字表記では「小小坊」と書くが』、『これは当て字で、シャシャンボの実際の語源は』、『古語のサシブ』(烏草樹)『が訛ったものである』とあった。『果実は直径』五『ミリメートル』『ほどの球形の液果で、黒紫色に熟すと』、『白い粉が吹いて』、こうなると、『食べることができる』。『これは同属のブルーベリー類と同じく、アントシアニンを多く含む』とあった。和名も知らなんだわ。✕。

「くこ」枸杞。ナス目ナス科クコ属クコ Lycium chinense 。◎。

「にわとこ(?)」接骨木。「庭常」とも書く。双子葉植物綱マツムシソウ目ガマズミ科ニワトコ属亜種ニワトコ Sambucus racemosa subsp. sieboldiana 当該ウィキによれば、『日本の漢字表記である「接骨木」(ニワトコ/せっこつぼく)は、枝や幹を煎じて水あめ状になったものを、骨折の治療の際の湿布剤に用いたためといわれる。中国植物名は、「無梗接骨木(むこうせっこつぼく)」といい、ニワトコは中国で薬用に使われる接骨木の仲間であ』るとあって、『若葉を山菜にして食用としたり、その葉と若い茎を利尿剤に用いたり、また』、『材を細工物にするなど、多くの効用があるため、昔から庭の周辺にも植えられた』。『魔除けにするところも多く、日本でも小正月の飾りや、アイヌのイナウ(御幣)などの材料にされた』。『樹皮や木部を風呂に入れ、入浴剤にしたり、花を黒焼にしたものや、全草を煎じて飲む伝統風習が日本や世界各地にある』。『若葉は山菜として有名で、天ぷらにして食べられる』。但し、『ニワトコの若葉の天ぷらは「おいしい」と評されるが』、『青酸配糖体を含むため』、『多食は危険で』、『体質や摂取量によっては下痢や嘔吐を起こす中毒例が報告されている』とあった。『果実は焼酎に漬け、果実酒の材料にされる』とある。天ぷらを食べたことがある。熊楠先生、若葉はあきまへんで。◎。

「がまずみ」莢蒾。マツムシソウ目ガマズミ科ガマズミ属ガマズミ Viburnum dilatatum当該ウィキによれば、『和名「ガマズミ」の語源は、赤い実という意味の「かがずみ」が転訛したものといわれる』とあり、『果実は最終的に晩秋のころに表面に白っぽい粉をふき、この時期がもっとも美味になる。冬になっても、赤い果実が残っていることがある』とあって、『果実は甘酸っぱく食用になる』。『大根を漬ける時に用いられ、「赤漬け」は長野県戸隠村でよく行うもので』、『紅色に染まり、実の酸味がついた大根漬けとなる。ジュースやキャンディ、酢、ポン酢、果実酒、ジャム、ゼリー、健康ドリンクなどに商品化されている』とある。◎。

「うぐひすかずら」これは、多分、熊楠の「うぐひすかぐら」の誤記であろう。「鶯神楽」で、マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ属の変種ウグイスカグラ Lonicera gracilipes var. glabra Weblio 辞書」の「デジタル大辞泉」に写真入りで、『日本特産で、山野に自生。高さ約』一・五~三『メートル。葉は楕円形で、若葉では縁に赤みがある。春、枝先に淡紅色の花が』一『個垂れ下がって咲く。実は熟すと』、『赤くなり、食べられる』とあった。✕。]

 「しきみ」の實は毒物だが、食《くつ》て害を受けぬ例が多い。「ぬるで」の實、熟すれば、外薄皮上有薄鹽、鹽生樹上者、卽是也、小兒食ㇾ之。〔外の薄皮の上に、薄き鹽、有り。鹽の樹上に生ずるは、卽ち、是れなり。小兒、之れを食らふ。〕と支那の本草に云《いへ》り。「さんせう」の實抔と同じく、味を助くる料とし、本邦の山民も、古來、用ゐたのだろう[やぶちゃん注:ママ。]。紀州には、山中に、古く、柿や柚《ゆづ》が自生結實する者が有るのを、予、自ら、食た事がある。淺い山には、半野生の梅林も有るが、深い山林では、唯、一度、日高郡川又《かはまた》官林で、一本、見た。所の者言《いは》く、「鹽氣無き地に、梅、生ぜず。」と。詰り、『人家に遠い場所に、生えぬ。』と云ふ意味だ。

[やぶちゃん注:『「しきみ」』(樒(しきみ))『の實は毒物だが、食《くつ》て害を受けぬ例が多い』被子植物門双子葉植物綱アウストロバイレヤ目Austrobaileyalesマツブサ科シキミ属シキミIllicium anisatum 。しかし、当該ウィキによれば、神経毒として知られる『アニサチン』(anisatin)『などの毒を含み、特に猛毒である果実が』、『中華料理で多用される八角に似ているため、誤食されやすい危険な有毒植物である』とあり、『葉や茎、根、花、果実、種子など全体が有毒で』、『なかでも』、『果実、種子は毒性が強く、食用にすると死亡する可能性がある』。『実際、下記のように事故が多いため、シキミの果実は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている』。『中毒症状は、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、意識障害等であり、昏睡状態を経て死に至ることもある』。『有毒成分は』『アニサチン』『やネオアニサチン(neoanisatin)で』、『同じシキミ属に属するトウシキミ』(Illicium verum:本邦には自生しない)『は毒成分を含まず、果実は八角(はっかく)、八角茴香(はっかくういきょう)、大茴香(だいういきょう)、スターアニスとよばれ、香辛料や生薬として利用される』。『シキミの果実は形態的にこれに非常によく似ているため』(画像と図有り)、『シキミの果実をトウシキミの果実と誤認して料理に使用し』てしまい、『食べることで中毒を起こす事故が多い』。『そのため、シキミの果実は「毒八角」ともよばれる』。『トウシキミの果実とくらべると、シキミの果実は』、『やや小型で先端が鋭く尖り、また抹香の匂いがする点でも異なる』。『第二次世界大戦以前は、シキミの果実を実際に「日本産スターアニス」として出荷し』、『海外で死亡事故などが発生したことがある』、『また』、『シキミの種子は、ややシイの実(果実)に似ているため、誤って食べて』、『集団食中毒を起こした例がある』。『人間以外の動物に対しても、ふつうシキミは有毒である。たとえば、放牧されるウシは、毒性のある草を選択して食べないことが多いが、シキミに関して』は、『これを誤食して死ぬ可能性があると指摘されている』。『また、シキミはニホンジカの食害を受けにくく、不嗜好性植物リストにも挙げられている』とあるから、熊楠先生! この記載は取り下げないと、アウトですよ!

「ぬるで」白膠木。ムクロジ目ウルシ科ヌルデ属ヌルデ変種ヌルデ Rhus javanica var. chinensis 当該ウィキに、『葉にできた虫えいを五倍子(ごばいし/ふし)という。お歯黒の材料にしたり、材は細工物や護摩を焚くのに使われる』とある。また、『熟した果実を口に含むと酸味が感じられる』とあるから、食べることには、危険性はないようである。

「支那の本草に云り」以上は、李時珍の「本草綱目」の巻之三十二の「果之四」の「鹽麩子」の「集解」の一節。熊楠にしては、書名も出さないのは、ちょっと不親切である。漢文原文のネット検索ですぐに判ったが、一昔前なら、探すのに苦労したろう。「漢籍リポジトリ」のこちらのガイド・ナンバー[079-22b]の影印本の画像を見られたい。罫線六行目の左中央からである。「鹽麩子」は先のヌルデの漢名の異名。中文の当該ウィキ「盐肤木」を見て戴くと、本文最後の「别名」の最後から二つ目に「盐肤子」とあるのが、それである。「盐」は「鹽(塩)」の簡体字である。

「さんせう」山椒。ムクロジ目ミカン科サンショウ属サンショウ Zanthoxylum piperitum

「日高郡川又官林」現在の和歌山県日高郡印南町(いなみちょう)川又(グーグル・マップ・データ航空写真)。「ひなたGPS」で戦前の地図の方を見ると、『川又國有林』のも古賀確認出来る。]

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