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2023/03/03

西播怪談實記 佐用那波屋長太郞怪風を見し事 ミステリー・サークル第二弾!

 

[やぶちゃん注:本書の書誌及び電子化注凡例は最初回の冒頭注を参照されたい。本文はここから。]

 

 ○佐用那波屋(なは《や》)長太郞怪風(くはいふう)を見し事

 佐用郡佐用邑に那波屋長太郞といひしものあり。

 正德年中のある六月、晴天なる日の申の刻[やぶちゃん注:午後三時から五時頃。]斗《ばかり》に、居宅の裏の田に、空より、物の落(をち)たる音、しけり。

 其音、大門の戶びらを水面(すいめん)にまろくに打付《うちつけ》たるやう也。

 されども、物も、見えず。

 不思議に思ひ、出《いで》て見るに、四角なる田の未申(ひつじさる)[やぶちゃん注:南西。]の角(すみ)二間[やぶちゃん注:約三・六四メートル。]四方斗、水波(みつなみ)、丸く輪立(わたち)て、眞中(まんなか)二尺四方ばかりは、水、急(きう)にめぐりて、長(たけ)壱尺斗の稻《いね》、ひたひたと、水に打《うち》ふして、輸になれり。

 かくのごとくにして、戌亥(いぬい)[やぶちゃん注:北西。]の角(すみ)へ行《ゆき》、丑寅[やぶちゃん注:東北。]の角より、辰巳[やぶちゃん注:南東。]の角へ行、終(つい)に元の角へ戾りて、止(やみ)けり。

 岸の下《した》へめぐりし時、眞上(まうへ)より能《よく》見けれども、物は、見へず。

 又、稻のたをれしも、急なる水の所さへ過《すぐ》れば、速(むしやか)に起(をき)て、少(ちと)も、いたみ、なかりしとかや。

 是は予か亡父(ほうふ)にて、若輩(ちやくてい[やぶちゃん注:ママ。])の比(ころ)、祖父より別に店(みせ)を出し、商(あきない)を仕習(しなはら)せける時の事にて、存命の内、世談(せたん)の次手《ついで》には、此噺《このはなし》も出《いで》て、聞ける趣を書つたふもの也。

[やぶちゃん注:「林田村農夫火熖を見し事」に続くミステリー・サークル第二弾である。

「正德年中」一七一一年から一七一六年まで。徳川家宣・家継の治世。]

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