大手拓次譯詩集「異國の香」 唄(ジョン・リチャード・モーアランド)
[やぶちゃん注:本訳詩集は、大手拓次の没後七年の昭和一六(一九三一)年三月、親友で版画家であった逸見享の編纂により龍星閣から限定版(六百冊)として刊行されたものである。
底本は国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」のこちらのものを視認して電子化する。本文は原本に忠実に起こす。例えば、本書では一行フレーズの途中に句読点が打たれた場合、その後にほぼ一字分の空けがあるが、再現した。]
唄 モーアランド
かなしみをもてわれをとらへ、 いましめよ、
なほも、 恐れをもてわが心を 刺(さ)せよ、
もえあがるよろこびのちさきほのほを
なみだもて消せよ。
汝(な)が知れるかぎりの敏(さと)き手だてを試みよ、
すべてのたくみなるわざを用ゐよ………
されど されど わが心のなかのうたごゑを
なれはとめえじ!
[やぶちゃん注:アメリカの詩人・作家ジョン・リチャード・モーアランド(John Richard Moreland 一八七八年~一九四七年)はバージニア州ノーフォークで生まれで、同地で没した。一九二一年に詩誌『poetry』を創刊している。原詩は探し得なかった。
「用ゐよ」はママ。]
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