大手拓次譯詩集「異國の香」 信心(ギュスターブ・フォルク)
[やぶちゃん注:本訳詩集は、大手拓次の没後七年の昭和一六(一九三一)年三月、親友で版画家であった逸見享の編纂により龍星閣から限定版(六百冊)として刊行されたものである。
底本は国立国会図書館デジタルコレクションの「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」のこちらのものを視認して電子化する。本文は原本に忠実に起こす。例えば、本書では一行フレーズの途中に句読点が打たれた場合、その後にほぼ一字分の空けがあるが、再現した。]
信 心 フオルク
月は私の枕を照らし、
わたしは眠ることは出來ない、
月の光に接物されてゐる二つの手を
わたしはぢつと組み合せてゐる。
神から歸つて來た、 私の靈魂は
今やすらかに橫たはつてゐる。
そして私の愛情は唯ひとつの考へを持つてゐる、
お前を幸福にしやうと。
[やぶちゃん注:詩人不詳。識者の御教授を乞う。「しやう」はママ。]
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