大手拓次 「女よ」
[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。
以下は、底本の編年体パートの『『藍色の蟇』時代Ⅰ(大正前期)』に載るもので、同パートについては、先のこちらの冒頭注を見られたい。]
女 よ
淫慾の木陰に
さはやかな鍋を用意して
亂れゆく小花の魚を煮る。
蜂蜜のやうにねばり强い幻は裳をひき、
狂氣は自由に神の如く動く。
女よ、
お前の姿は寶玉の鳴る夜の音(おと)である。
[やぶちゃん注:「淫慾」の「慾」は底本のママ。
「寶玉」の「寶」の字体は詩集「藍色の蟇」での用字に従った。]
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