[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。
以下は、底本の編年体パートの『『藍色の蟇』時代Ⅰ(大正前期)』に載るもので、同パートについては、先のこちらの冒頭注を見られたい。]
野よ立てよ
野よ立てよ、
かぎりなくみどりにぬれて交感のこゑをうむ野の翁(おきな)よ、
わたしは白い帆柱のやうにうごいてゐる。
命の姿は羽ばたきに似て
とらへがたく闇をつみかさねる。
永遠のくゆりを吐く野のたそがれよ、
すこやかに立つて
かをりゆけ、神の國へかをりゆけ。
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