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2023/04/21

大手拓次 「𢌞廊のほとり」

 

[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。

 以下は、底本の編年体パートの『『藍色の蟇』時代Ⅰ(大正前期)』に載るもので、同パートについては、先のこちらの冒頭注を見られたい。]

 

 𢌞廊のほとり

 

なにごころなく眼をとめれば、

すみなれた𢌞廊のめぐりにはつねに白衣の行列がゆき交(か)うてゐる、

うすい影のやうでありながら消えもしないで、

つながりつながりつづいてゐる。

𢌞廊の内がはには瘦せた鼠色の衣をきた女がひとり、さまよひながら見とれてゐる。

 

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