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2023/05/27

畔田翠山「水族志」 ハタジロ (マハタ)

 

(二七)

ハタジロ【紀州海士郡雜賀浦アクノ一種ハタジロト同名也】 一名シマイヲ【讃州高松領津田浦備中玉島】コリ

イヲ【備前岡山】タムリ【紀州田邊】マクチイヲ【筑前姪ノ濱】ダンダラ【筑前福間浦】シマヽス【尾州智多郡小野浦】ハタビラ【勢州土師】ハマヽス【紀州奥熊野矢口浦】アカマス【勢州阿曾浦】マス【紀州熊野九鬼浦勢州慥柄浦】シマダヒ【讃州八島】ナベヤキ【尾州常滑】

形狀「チヌ」ニ似テ扁ク細鱗アリ口眼「アク」ニ似タリ尾ニ岐ナシ眼黃褐

色瞳藍色全身淡褐身半白色ニ乄頭褐色喉下色淺シ頭ヨリ尾上ニ至

ルマテ褐色ノ橫斑條ヲナシ尾上黑色ノ大斑一ツアリ尾淡褐色黃ヲ

帶鰭本褐色末淡褐色上鬣端微黑色脇翅本淡褐色端淡赤色腹下翅藍

色腰下鰭藍色也本朝食鑑ニ旗代魚漁家所謂魚紋黑白相疊如旗之黑

白分染細鱗長鰭尾無岐色以黑爲上白者味劣略雖似藻魚而形扁首端

鬣亦細脆肉美白味淡而佳ト云此也此魚「アク」ニ似テ短扁キヿ「チヌ」ノ

如シ其三寸許者尾及脇翅淡紅色喉下ニ黑斑アリ餘ハ大者ニ同

○やぶちゃんの書き下し文

[やぶちゃん注:人見必大(ひとみひつだい 寛永一九(一六四二)年頃?~元禄一四(一七〇一)年)の著になる本邦最初の本格的食物本草書「本朝食鑑」は所持する訳本(東洋文庫版)及び、国立国会図書館デジタルコレクションのこちらの板本(元禄一〇(一九六七)年刊)の当該部を視認して、訓読の参考にした。]

はたじろ【紀州海士(あま)郡雜賀(さいか)浦。「あく」の一種。「はたじろ」と同名なり。】 一名、「しまいを」【讃州高松領、津田浦。備中、玉島。】・「こりいを」【備前岡山。】・「たむり」【紀州田邊。】・「まくちいを」【筑前姪の濱。】・「だんだら」【筑前福間浦。】・「しまゝす」【尾州智多郡小野浦。】・「はたびら」【勢州土師(はぜ)。】・「はまゝす」【紀州奥熊野、矢口浦。】・「あかます」【勢州阿曾浦。】・「ます」【紀州熊野、九鬼浦。勢州慥柄(たしから)浦。】・「しまだひ」【讃州八島。】・「なべやき」【尾州常滑。】。

形狀、「ちぬ」に似て、扁(ひらた)く、細き鱗(うろこ)あり。口・眼、「あく」に似たり。尾に、岐(き)、なし。眼、黃褐色。瞳、藍色。全身、淡褐。身、半(なか)ばは白色にして、頭、褐色。喉下、色、淺し。頭より尾の上に至るまで、褐色の橫斑、條をなし、尾の上、黑色の大斑、一つあり。尾、淡褐色、黃を帶ぶ。鰭(ひれ)の本(もと)、褐色、末(すゑ)は淡褐色。上鬣(うはびれ)の端(はし)、微黑色。脇翅(わきびれ)の本、淡褐色。端、淡赤色。腹の下翅(したびれ)、藍色。腰下の鰭、藍色なり。「本朝食鑑」に、『旗代魚(はたしろうを) 漁家、所謂(いはゆる)、「魚紋(ぎよもん)は、黑と白とを相ひ疊み、之れ、黑と白と分け染めたる旗のごとし。」と。細き鱗、長き鰭、尾に岐、無く、色、黑きを以つて、上(じやう)と爲(な)す。白き者は、味、劣れり。略(ほぼ)、藻魚(もうを)に似ると雖も、形は扁く、首の端鬣(はしひれ)も亦、細く、脆(ぜい)なり。肉、美白、味、淡くして佳(か)なり。』と云ふは、此れなり。此魚、「あく」に似て、短く扁きこと、「ちぬ」のごとし。其の三寸許りの者、尾及び脇翅(わきびれ)、淡紅色。喉の下に黑斑あり。餘(よ)は大者(おほもの)に同じ。

[やぶちゃん注:後に示すが、多くの異名の一致と、美しい白身が美味である点から、これは、

スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科マハタ属マハタ Epinephelus septemfasciatus

と比定して間違いないという確信を持った。それは、

①「本草食鑑」の「旗代魚」の異名がマハタのものであること。

及び、

②本冒頭に配された「ハタジロ」の名が、「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のマハタのページの地方名の項に「ハタジロ」とあり、採取地を『三重県志摩市和具』とし、「ハタジロマス」もあり、これも同じ和具町の採取であったこと。

さらに、

③国立国会図書館デジタルコレクションの宇井縫蔵「紀州魚譜」(三版・昭和七(一九三二)年刊)の「マハタ」の項でも、「方言」欄で冒頭に『マス(白崎・盬屋・田邊・周參見・和深・太地・二木島)』(「マス」の太字は底本では傍点「﹅」)を掲げていること。

による。

「紀州海士郡雜賀浦」和歌山県和歌山市雑賀崎(さいかざき:グーグル・マップ・データ。以下、無指示は同じ)。和歌山市街の西南端。南東直近に歌枕として知られる「和歌の浦」がある。但し、正確には、紀ノ川の河口から雑賀崎に至る砂浜海岸で和歌浦に連なる景勝地であった旧「雜賀の浦」は、現在は埋め立てられて、和歌山南港となってしまっている。

「讃州高松領、津田浦」現在の香川県さぬき市津田町津田であろう。

「備中、玉島」岡山県倉敷市の旧玉島町。ここも江戸時代からの干拓で変容してしまったので、「ひなたGPS」の戦前の地図を示す。

「筑前姪の濱」福岡県福岡市西区姪の浜

「筑前福間浦」福岡県福津市西福間附近の海浜。

「尾州智多郡小野浦」愛知県知多郡美浜町(みはまちょう)小野浦

「勢州土師」三重県鈴鹿市土師町(はぜちょう)。

「紀州奥熊野、矢口浦」三重県北牟婁郡紀北町(きほくちょう)矢口浦(やぐちうら)。

「勢州阿曾浦」三重県度会郡南伊勢町阿曽浦

「紀州熊野、九鬼浦」三重県尾鷲市九鬼町(くきちょう)。

「勢州慥柄浦」三重県度会郡南伊勢町慥柄浦(たしからうら)。

「ちぬ」クロダイの異名。

「あく」複数の種の異名であるが、ここは同じハタ類のハタ亜科アカハタ属キジハタ Epinephelus akaara ととっておく「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のキジハタのページに、「方言」として「アク」を『和歌山県和歌浦』(出典は前掲の宇井氏の「紀州魚譜」)として載せる。]

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