大手拓次 「あをき刃の」
[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。
以下は、底本のパート『文語詩』に載るもので、拓次数えで四十二歳から四十五歳の折りの創作になる詩篇である。詳しくは、こちらの初回の私の冒頭注を参照されたい。]
あをき刃の
あをき刃(は)のかみそりのごとく
かなしみをきざむ 秋の日のかげ
ところどころに このつめたき影はうごき
また ひとむれの鳥となりて おちきたる
[やぶちゃん注:「刃」は底本のものをそのまま用いた。理由は詩集「藍色の蟇」での用字が「刃」だからである。]