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2023/05/11

大手拓次 「ひとひらの花あるごとく」

 

[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。

 以下は、底本のパート『文語詩』に載るもので、拓次数えで四十二歳から四十五歳の折りの創作になる詩篇である。詳しくは、こちらの初回の私の冒頭注を参照されたい。]

 

 ひとひらの花あるごとく

 

ひとひらの花あるごとく

そよろなく

わがむねに うごくものあり

 

夜(よる)となく

ゆふべともなく ひるとなく

わがむねに

たえまなく うごくものあり

 

[やぶちゃん注:「そよろなく」「そよろ」は副詞で、風が静かに吹くさまや、対象物が軽く触れ合って立てる音を表わす語であるから、この「なく」は「無く」ではなく、「鳴く」であって、「そろそろと幽かに鳴くような」「しずしずとした雰囲気の、ごくごく小さな鳴き声のように」の意であろう。]

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