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2023/05/19

大手拓次訳 「ギタンジヤリ」 ラビンドラナート・タゴール

 

[やぶちゃん注:本電子化注は、初回の冒頭に示した通りで、岩波文庫の原子朗編「大手拓次詩集」(一九九一年刊)からチョイスし、概ね漢字を正字化して、正規表現に近づけて電子化注したものである。

 以下は、底本の最終パートである『訳詩』に載るもので、原氏の「解説」によれば、明治四三(一九一〇)年から昭和二(一九二七)年に至る約百『篇近い訳詩から選んだ』とあり、これは拓次数えで二十三歳から四十歳の折りの訳になる詩篇である。

 ここでは、今までとは異なり、一部で、チョイスの条件が、かなり、複雑にして微妙な条件を持ち、具体には、既に電子化注した死後の刊行の『大手拓次譯詩集「異國の香」』に載っていても、別原稿を元にしたと考えられる別稿であるもの、同一原稿の可能性が高いものの表記方法の一部に有意な異同があるものに就いては、参考再掲として示す予定であるからである。それについての詳細は、初回の私の冒頭注の太字部分を見られたい。]

 

 

 ギタンジヤリ ラビンドラナート・タゴール

 

彼はわたしの側にきて坐つた、

けれど私は眼が覺めなかつた。

なんといふ惱ましい眠りだ、

おお、みじめな私よ!

 

彼は夜がふけるとやつて來た。

彼はその手に竪琴(たてごと)を携へてゐて、

私の夢はその琴の調に共鳴りをした。

 

噫(ああ)、どうして、私の夜夜はこのやうにして皆失はれたのか?

噫、どうして私は、その呼吸を私の眠りに觸れしめた彼の姿を、何時かまた見失ふのか?

 

[やぶちゃん注:『大手拓次譯詩集「異國の香」』では、「螢」が採られてある。所持する「タゴール著作集」の「第一巻 詩集Ⅰ」(一九八一年第三文明社刊)で確認したところ、「ギタンジャリ」の「26」である。]

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