譚海 卷之五 越中國立山の事
[やぶちゃん注:読点・記号を追加した。]
○越中の建山[やぶちゃん注:ママ。]は、六月、登山する也。甚(はなはだ)嶮岨(けんそ)にて、所々、道、絕(たえ)て、のぼりかたき所は、絕壁に鐵(てつ)のくさりを懸(かけ)てあり、夫(それ)に取(とり)つきて、のぼる也。絕頂は、わずかに十間四方[やぶちゃん注:十八・一八メートル。]ほどあり、みな、白き巖(いはほ)、そばたちて、犬牙(けんが)の如く、足のふむ所なしと、いへり、歸路は、かけぬけの道路在‘あり)て、平地にくだる、といふ。