佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「蝶を咏める」賈蓬萊
[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
蝶を咏める
薄 翅 凝 香 粉
新 衣 染 媚 黃
風 流 誰 得 似
兩 兩 宿 花 房
賈蓬萊
かろき翅のおしろいや
黃にこそにほへ新(にひ)ごろも
みやびは誰か及ぶべき
花を臥戶(ふしど)にふたり寢るとは
※
賈蓬萊 宋朝。未詳。
※
[やぶちゃん注:標題は中文サイトで確認したところ、佐藤の訓読の通りで「咏蝶」であった。
「誰」は「たれ」と清音で読みたい。
「寢る」は「いぬる」では韻律が悪いので、「ねる」と読みたい。
推定訓読を示す。
*
蝶を咏(よ)む
薄き翅(はね)もて 香粉を凝(こ)らし
新しき衣(ころも)は 媚(なまめ)かしき黃(わう)に染めたり
風流 誰(たれ)か 似たるを得んや
兩兩(ふたりなが)ら 花(はな)を房(ばう)として宿(やど)れる
*]
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