佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「白鷺をうたひて」張文姬
[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
白鷺をうたひて
沙 頭 一 水 禽
鼓 翼 揚 淸 音
只 待 高 風 便
非 無 雲 漢 心
張 文 姬
はまべにひとり白鷺の
あだに打つ羽音(はねね)もすずし
高ゆく風をまてるらむ
こころ雲ゐにあこがれて
※
張文姬 九世紀末。 唐朝の貴婦人。 鮑參軍の妻である。
※
[やぶちゃん注:「鮑參軍の妻である」とあるが、これは何かの誤認であろう。「鮑參軍」で呼ばれるのは、南朝宋の知られた詩人鮑照(四〇五年~四六六年)で、唐代ではない。「鮑」姓の別人であろう。
「雲漢」一つに「天の川・銀河」の意があるが、ここは「大空」の意。
調べたところ標題は「沙上鷺」であった。以下、推定訓読を示す。
*
沙上(さじやう)の鷺(さぎ)
沙頭(さとう) 一水禽(いつすいきん)
翼(つばさ)を鼓(こ)して 淸き音(ね)を揚ぐ
只(ただ) 待つ 高風(かうふう)の便(たよ)りを
雲漢(うんかん)の心(こころ) 無きに非(あら)ず
*]
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