佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「おなじく」(前詩「行く春の川べの別れ」という意味)趙今燕
[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
おなじく
淼 淼 春 江 上
孤 舟 去 莫 留
思 君 若 流 水
日 夕 伴 行 舟
趙 今 燕
春の江のながれはろばろ
ゆく舟やとどまりもせず
わがこころ水にかも似る
朝ゆうべ君を追ひつつ
[やぶちゃん注:作者は前の同人の「行く春の川べの別れ」を参照されたい。標題は「送別」。以下、推定訓読を示す。
*
送別
淼淼(べうべう)たり 春の江上(かうしやう)
孤舟(こしう) 去りて留まる莫(な)し
君を思ふは 流水のごとく
日夕(につせき) 行く舟に伴へり
*
「淼淼」(現代仮名遣「びょうびょう」)水面が果てしなく広がるさま。]
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