佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「霜下の草」小夜 / 訳詩本文~了
[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
霜 下 の 草
年 少 當 及 時
蹉 跎 日 就 老
若 不 信 儂 語
但 看 霜 下 草
子 夜
若き命の束の間の
よろめき行くや老來(おいらく)ヘ
わが言の葉をうたがはば
霜に敷かる〻草を見よ
[やぶちゃん注:作者小夜は六首既出。佐藤の作者解説は、その最初の「女ごころ」を参照。「楽府詩集」の巻四十四の「子夜歌」四十二首の其十六である。
以下、所持する岩波文庫の松枝茂夫編の「中国名詩選」の「中」(一九八四年刊)を参考に訓読文と注を示す。
*
子夜歌
年少(ねんしやう) 當(まさ)に時に及ぶべし
蹉跎(さだ)として 日(ひび)に老ひに就(つ)けり
若(も)し儂(わ)が語(かたれ)るを信(しん)ぜざらば
但(ただ) 看(み)よ 霜下(さうか)の草(くさ)を
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・「蹉跎」松枝氏の注に『ぐずぐずして時期を失すること』とある。
・「霜下の草」松枝氏の最終句の訳に丸括弧で附されて、『春は茂っているが冬になれば枯れる』とある。]
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