佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「殘燈を咏みて」沈滿願
[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
殘燈を咏みて
殘 燈 猶 未 滅
將 盡 更 揚 輝
唯 餘 一 兩 熖
纔 得 解 羅 衣
沈 滿 願
ともし燈の
消(け)ぬがに見えて
なかなかに
帶解く間(ひま)は燃えまさりつ〻
[やぶちゃん注:彼女の詩は既出。佐藤の作者解説はそちらを参照されたい。中文サイトを調べたところ、標題は「殘燈」。以下、推定訓読を示す。
*
殘り燈(び)
殘り燈 猶ほ未だ滅(めつ)せず
將(まさ)に盡(つ)きんとするも 更(さら)に輝(かがや)きを揚(あ)ぐ
唯(ただ)餘(のこ)す 一兩(いちりやう)の熖(ほのほ)
纔(わづ)かに得(う) 羅衣(らい)を解くに
*
・「一兩」「一本、乃至、二本」の意だが、シークエンスとしては、一本の映像の方がいい。
・「羅衣」薄物で仕立てた衣。薄絹(うすぎぬ)の衣。閨で女性の着る肌着である。]
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