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2023/07/03

佐藤春夫譯「支那厯朝名媛詩鈔 車塵集」正規表現版 「月は空しく鏡に似たり」周文

 

[やぶちゃん注:書誌・底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]

 

  月は空しく鏡に似たり

            醉 罷 月 已 明

            照 我 還 照 君

            如 何 君 不 見

            只 見 天 邊 雲

                  周   文

 

醉ひざめの月のさやけさよ

君をも照らすものからに

君がすがたは見えもせで

ただわりなさの天つ雲見ゆ

   ※

 周  文  明朝の妓女。 未詳。  

   ※

[やぶちゃん注:巻末の「原作者の事その他」では「陳眞素」の後にあって『同上。』とあるだけなので、「陳眞素」のそれをそのまま移した。

 本篇は中文サイトで検索したところ、第一句はどれも「醉罷見明月」となっている。或いは佐藤の示した一本があるのかも知れないが、こちらで推定訓読する。なお、標題は「有怀」で二首の一首である。

   *

 怀(おも)ひ有り

醉(ゑ)ひ罷(や)みて 月(つき) 已すでに明(あき)らかなり

我を照らし 還(ま)た 君(きみ)を照らす

如何(いかん)ぞ 君 見えず

只(ただ) 見る 天邊(てんへん)の雲を

   *]

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