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2023/08/15

フライング単発 甲子夜話卷之十一 30 兎の厭勝

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。標題の「厭勝」は「まじなひ」と訓ずる。]

11―30

 予が封内[やぶちゃん注:平戸藩領。]にて、小麦畑に、兎、入れば、實を食ふの害あるゆへ[やぶちゃん注:ママ。]、農夫、

「これを避(さけ)ん。」

とて、小さき木札(きふだ)を、畑の邊(あたり)にたてゝ、厭勝(まじなひ)とす。

 その札に、

「狐のわざと兎が申す」

と書くことなり。

「然(しか)るときは、兎、入ること、なし。これは、狐、札を見て、『我は、穀を害せざるに、兎の、虛名をおほせたり。』とて、狐、怒り、責むるを、兎、恐れて、害を爲さず。」

と、農夫ども云ひ伝へてすることなり。

 可ㇾ咲(わらふべき)ことなれど、この札を立つれば、兎の難は、止むこと、必定(ひつぢやう)なるも、不思議なることなり。

 

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