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2023/10/30

フライング単発 甲子夜話卷四十四 14 安藝の狸、人と交語す

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。]

 

44―14

 世に知れたる關取の角力(すまふ)、「緋威(ひをどし)」と云(いふ)は、藝州の產なり。近頃、年老(おい)て、予が中(うち)の角力、「錦」の方に寓せり。予も、年來(としごろ)、知る者ゆへ[やぶちゃん注:ママ。]、時々、呼(よび)て、噺(はな)させし中(なか)に云(いひ)しは、

「彼れが故邑(ふるさと)の在鄕、三里ばかりの村に、老狸(らうり)あり。常に、人と交語(かうご)す。容貌、里俗と異(ことな)ることなし。緋威も、屢〻(しばしば)相對(あひたい)す。」

と。

「狸、碁を善(よく)す。相手、窮思(きゆうし)すれば、輙(すなはち)、

『凡夫、かなしや。目は見えず。』

抔、云ひて、これを嫚(あなど)る。

 總じて、人の如し。因(よつ)て、或(あるい)は、

『これを困(くる)しめん。』

とて、傍人(かたはらのひと)、戸を閉(とざ)し、障子を塞(ふさ)ぐに、その寸𨻶(すんげき)より出去(いでさ)ること、幻影の若(ごと)くにして、遂に留(とどむ)ること、能はず。」

と。

 また、或は、戲(たはむれ)に陰囊を披(ひら)きて、人に覆ふ。

 人、驚(おどろき)て、

『脫逃(ぬけにげ)せん。』

と、すれば、いよいよ、包結(ふくろじめ)して、これを笑ふ。

 其狀(かたち)、また、人と違(たが)はず。」

と。

 また、或人、これに、

「弟子、ありや。」

と問へば、

「弟子有りと雖ども、この邊には、なし。たゞ隣村なる『ちんば狐(きつね)』のみ、我が弟子なり。然(され)ども、未だ、人に對して言語すること、能はず。」

抔、話せり。

 予、疑(うたがひ)て、信ぜずといへども、時に、「錦」も亦、傍(かたはら)に在り、

「嘗(かつ)て、共に藝州に往(ゆき)て、その人を知る。」

と云へば、虛妄とも、しがたし。

 又、この狸、よく古昔(ふるむかし)のことを語る。大率(おほむね)、茂林寺の守鶴老貉(しゆかくらうかく)の談に類(るゐ)す。

 然れば、藝狸(げいり)も、長壽の者か。

 又、

「隣の『ちんば狐』は、里人(さとびと)、時々、これを視ること、あり。」

と云(いふ)。

■やぶちゃんの呟き

「世に知れたる關取の角力(すまふ)」「緋威(ひをどし)」「フライング単発 甲子夜話續篇卷之四十四 16 桑名の大鼠」に既出既注。

「錦」静山が迎えた子ども相撲から叩き上げた名力士。百合の若氏のブログ「甲子夜話のお稽古」の「巻之90 〔10〕 相撲力士、妹に衣を贈り、感謝の文に公、思いを馳せる」(私は未電子化)に現代語訳で、その経緯が記されてあり、彼が自分の妹に送った感謝の手紙が原文(新字正仮名)で載るので、是非、読まれたい。

「彼れが故邑(ふるさと)の在鄕」緋威の故郷は安芸国山県郡川戸(現在の広島県北広島町川戸)であるから、その「三里ばかりの村」というのは、この周辺域に当たる。村の名を記して欲しかった。

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