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2023/10/23

柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」 「幻影の官人」

[やぶちゃん注:本書は昭和三六(一九六一)年一月に東京堂から刊行された。この総題の「随筆辞典」はシリーズ物の一書。本書については、初回の冒頭注を、また、作者については、私の『柴田宵曲 始動 ~ 妖異博物館 「はしがき」・「化物振舞」』の私の冒頭注を参照されたい。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションのこちらを使用した。新字新仮名である。但し、加工データとして、所持する筑摩書房『ちくま文芸文庫』の「奇談異聞辞典」(底本を解題したもの・二〇〇八年刊)を加工データとして使用させて貰った。ここに御礼申し上げる。

 読みが振れる、若い読者が躓くかも知れぬ箇所には《 》で読みを添えた。引用文の場合は歴史的仮名遣を用いた。なお、( )は柴田自身が附したルビである。

 また、柴田のストイックな編集法を鑑み、私の注は、どうしても必要と判断したもののみとした。幸い、有意な部分は私が既に電子化注したものがあるので、それをリンクさせてもいる。但し、この原本は新字新仮名であるため、私が電子化していない引用文の原本に当たることが出来たものは、極力、視認出来るように、国立国会図書館デジタルコレクションや他のデータベースの当該部をリンクさせるように努めた。

 なお、辞典形式であるので、各項目を各個に電子化する。公開は基本、相互の項目に連関性がないものが多いので、一回一項或いは数項程度とする。

 

 幻影の官人【げんえいのかんじん】 〔反古のうらがき巻一〕予<鈴木桃野>祖父向凌翁若かりし時、書斎に独り居りしに、忽然として一人の衣冠の人、桜の枝より降り乗る。よくよく見るに、盗賊とも見えず。但し衣冠の官人、このあたりに居るべき理なし。況んや天より降るべき理更になし。おもふに心の迷ひよりかかるものの目に遮ぎるなりと、眼を閉ぢて見ず。しばしありて眼を開けば、漸々に降り来る。また眼を閉ぢ、しばしありて開けば、また漸々近づき来る。此の如きこと三四度にして、終に縁頬迄来り、縁ばなに手を懸くる。こは一大事と思ひて、眼を開きたるまゝにて家人を呼びて、気分悪し、夜具を持ち来れと命じ、その儘打ふして少々まどろみけり。心気しづまりて後、起出で見るに何物もなし。果して妖怪にはあらざりけりと、書弟子石川乗渓に語りしとて、後乗渓予に語りき。この話曲淵甲斐守といふ人も、この事ありしよし聞けり。これは曲淵心しづまりて驚かざれば、妖気隣家に移りて、即時に隣主人腰元を手打にして狂気せしより、語り伝へたりとなり。

[やぶちゃん注:「反古のうらがき」複数回既出既注。私は既にブログ・カテゴリ「怪奇談集」で全電子化注を終わっている。当該話は「反古のうらがき 卷之一 官人天より降る」。未刊随筆集叢書の国立国会図書館デジタルコレクションの『鼠璞十種』(そはくじっしゅ)第一(大正五(一九一六)年国書刊行会刊)のこちらでも、正字の当該部が視認出来る。]

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