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2023/10/07

フライング単発 甲子夜話卷之十四 17 村婦、狐を苦しむる事

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。]

 

 平戶の鄕醫(がうい)に玄丹と云ふありしが、或時、

「病人あり。」

と呼びに來(きた)る。

 村家のことゆゑ、夫の病は、婦、來(きた)り、自(みづか)ら、藥箱を持ち、且つ、嚮導(きやうだう)す。玄丹、卽ち、出(いで)て共に行く。

 半途にして、路傍に狐の臥すを見る。

 かの婦、云(いふ)。

「狐を窘(くるし)め見せ申さん。」

と。

 玄丹曰く、

「よからん。」

婦、乃(すななはち)、手にて、己(おの)が咽(のんど)をしめたれば、向うに臥(ふせ)ゐたる狐、驚起(おどろきたち)て苦しきさまなり。

 婦、また、云ふ。

「今少し、困(くる)しめ候はん。」

迚(とて)、兩手にて、咽を彌〻(いよいよ)、强く、しめたれば、狐、ますます苦しみて息出ざる體(てい)なり。それより、婦、己が息の出ざるほどに、咽を、しめたれば、狐、卽(すなはち)、悶絕したり。

 玄丹、笑(わらひ)て去り、病人を診(うらな)ひ、藥を與へて、還れり。

 然るに、四、五日を過ぎて、復(また)、同處より、

「病人あり。」

迚、呼びに來(きた)る。

 玄丹、

『先の病(やまひ)、再發なるや。』

と、思ひ、往きて見るに、此度(このたび)は、先日の婦の、發狂せる體(てい)なり。

 聞けば、

「狐の、つきたる。」

にて、さまざまの譫語《うはごと》し、

「汝、にくきやつなり。先は、我が寐(いね)ゐたるを、種々(しゆじゆ)に苦しめ、後は、悶絕までさせたり。それとは知らずして有りしが、その後、近處の人に、その事を語りて、笑ひ罵りたるを傳聞(つたへきけ)り。今、其怨を酬ひ、汝を、とり殺すなり。」

と云ふ。

 玄丹も、

「覺えあることゆゑ、驚(おどろき)て聞居(ききゐ)たり。」

と云ふ。

 其後のことは、不ㇾ知(しれず)。

■やぶちゃんの呟き

「嚮導す」先に立って道案内をする。

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