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2023/11/04

フライング単発 甲子夜話卷五十七 6 地底の寺顯る

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。標題は「ちていのてら、あらはる」。]

 

57-6

 寬政四年四月朔日、肥前嶋原の城外、溫泉嶽(うんぜんだけ)、俄(にはか)に裂崩(さけくずれ)て、城下、人數(にんず)百を壓沒(あつぼつ)す。

 このとき、海向《うみむかひ》の肥後領、遙(はるか)に相對(あひたい)せし方(かた)、二十里ばかりの程、𣹝波(しやうは)の爲に民居・人家、盡く漂散(へうさん)し、或は汀沙(ていさ)に埋(うづも)れたり。

 此時、最(もつとも)奇なりしは、海岸の上にありし一寺【名、今、不詳。】、海𣹝に仍(よつ)て漂沒(へうぼつ)せしが、其邊(あたり)の喬松(きやうまつ)、二、三樹も又、仆(たふ)れ、偃(ふせ)て、寺屋(てらをく)に覆ひたるに、汀沙、これが上に積(つみ)て岡をなせり。

 此(この)如くして、二十餘日を經ふ[やぶちゃん注:読みの衍字であろう。]。

 然るに、後、この邊を往(ゆく)者、地底に鐘響(かねのひびき)の幽(かすか)なるを聞く。

 人、訝(いぶか)りて、その地を掘ること、丈餘にして、遂に、屋脊(をくせき)を見る。

 稍稍(やや)掘るに、寺屋(てらをく)、松樹の下に在(あり)て、僧輩、恙なし。

 因(よつて)、免(まぬか)るゝことを得たり、と。

 奇と云(いふ)べし。そもそも、また、佛助(ぶつじよ)か。

「このこと、肥後侯【細川氏。】の菩提所、龍田山泰勝寺の住持、その翌年の直話(ぢきわ)なり。」

と、印宗、語る。

■やぶちゃんの呟き

「寬政四年四月朔日」「島原大変肥後迷惑」の発生日。寛政四年四月一日(グレゴリオ暦一七九二年五月二十一日)に肥前国島原で発生した雲仙岳の火山性地震、及び、その後の雲仙岳東方にある眉山(まゆやま:孰れもグーグル・マップ・データ)の山体崩壊(「島原大変」)と、それに起因する津波が、島原や対岸の肥後国を襲ったこと(「肥後迷惑」)による大災害。詳しくは、当該ウィキを見られたい。また、「国立公文書館」公式サイト内の「天下大変 資料に見る江戸時代の災害」の「13. 肥州島原焼崩(『視聴草』6集の10)」

に「『視聴草』には、「肥州島原焼崩」と題する噴火の図と、島原藩主松平主殿頭とのものかみから幕府に出された被害報告や熊本から江戸の熊本(細川)藩邸に届いた手紙の写しなどが収録されてい」るとあり、画像も見られる。

「肥前嶋原の城外、溫泉嶽」雲仙岳のこと。

「𣹝波」(現代仮名遣「しょうは」)は「海の波が高くそそり立つこと」を言う。

「肥後侯【細川氏。】の菩提所、龍田山泰勝寺」現存しないが、跡地に立田自然公園があり、細川家廟所も残る。ここ(グーグル・マップ・データ)。

「印宗」静山と馴染みの禅僧であるが、不詳。「甲子夜話」には、しばしば登場する。例えば、私の「柴田宵曲 妖異博物館 天狗の夜宴」を見られたい。

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