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2023/11/29

「にんじん」ジュウル・ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ヴァロトン挿絵+オリジナル新補注+原文) 「オノリイヌ」

[やぶちゃん注:ジュール・ルナール(Jules Renard 一八六四年~一九一〇年)の “ Poil De Carotte(原題は訳すなら「人参の毛」であるが、これはフランス語で、昔、「赤毛の子」を指す表現である。一八九四年初版刊行)の岸田国士による戦前の翻訳である。

 私は既にサイト版「にんじん ジュウル・ルナアル作 岸田国士訳 挿絵 フェリックス・ヴァロトン(注:やぶちゃん copyright 2008 Yabtyan)」で、新字新仮名遣のそれを十五年前に電子化注している。そこでは、底本は岩波文庫版(一九七六年改版)を用いたが、今回は、国立国会図書館デジタルコレクションのジュウル・ルナアル作岸田國士譯「にんじん」(昭和八(一九三三)年七月白水社刊。リンクは標題のある扉)を用い、正字正仮名遣で電子化し直し、注も新たにブラッシュ・アップする。また、本作の挿絵の画家フェリックス・ヴァロトンFelix Vallotton(一八六五年~一九二五年:スイス生まれ。一八八二年にパリに出、「ナビ派」の一員と目されるようになる。一八九〇年の日本版画展に触発され、大画面モノクロームの木版画を手掛けるようになる。一九〇〇年にフランスに帰化した)の著作権も消滅している。上記底本にはヴァロトンの絵はない(当時は、ヴァロトンの著作権は継続していた)が、私は彼の挿絵が欠かせないと思っているので、岩波版が所載している画像を、今回、再度、改めて取り込み、一部の汚損等に私の画像補正を行った。

 ルビ部分は( )で示したが、ざっと見る限り、本文を含め、拗音・促音は使用されていないので、それに従った。傍点「丶」は下線に代えた。底本の対話形式の部分は、話者が示されダッシュとなる一人の台詞が二行に亙る際、一字下げとなっているが、ブラウザの不具合が起きるので、詰めた。三点リーダは「…」ではなく、「・・・」であるのはママである。各話の末尾に若い読者を意識した私のオリジナルな注を附した(岸田氏の訳は燻し銀であるが、やや語彙が古いのと、私(一応、大学では英語が嫌いなので、第一外国語をフランス語にした)でも、原文と照らしてみて、首をかしげる部分が幾分かはある。中学二年生の時、私がこれを読んだときに立ち返ってみて、当時の私なら、疑問・不明に思う部分を可能な限り、注した。原文はフランスのサイト“Canopé Académie de Strasbourg”の“Jules Renard OIL DE CAROTTE (1900)”PDF)のものをコピーし、「Internet archive」の一九〇二年版の原本と校合し、不審箇所はフランス語版“Wikisource”の同作の電子化も参考にした。詳しくは、初回の冒頭注を参照されたい。

 

Onorinu

 

     オノリイヌ

 

 

ルピツク夫人――お前さんは、もう幾歲(いくつ)だつけ、オノリイヌ?

オノリイヌ――この萬聖節で、丁度六十七になりました、奧さん。

ルピツク夫人――そいぢや、もう、いい年だね。

オノリイヌ――だからつて、別にどうもありませんよ、まだ働けるだもの。病氣なんぞしたことはなしね。頑丈なことゝ來ちや馬にだつて負けやしませんからね。

ルピツク夫人――そんなこと云ふなら、あたしが考へてることを云つてあげようか。お前さんは、ぽくりと死ぬよ。どうかした日の晚方、川から歸りがけに、背負つてる籠がいつもの晚より重く、押してる車が思ふやうに動かないのさ。お前さんは、車の梶棒の間へ膝をついて倒れる。濡れた洗濯物の上へ顏を押しつけてね。それつきりさ。誰か行つて起してみると、もうお前さんは死んでるんだよ。

オノリイヌ――笑はしちや困るよ、奧さん。心配しないでおくんなさい。脚だつて、まだぴんぴんしてるんだもの。

ルピツク夫人――さう云や、少しばかり前こゞみになつてきたね。だけど背中が丸くなると、洗濯をする時に、腰が疲れなくつていい。たゞどうにも困ることは、お前さんの眼が、そろそろ弱つて來たことだよ。さうぢやないとは云はせないよ。この頃、それがちやんと、あたしにはわかるんだ。

オノリイヌ――そんなことはないね。嫁に行つた頃とおんなじに、眼ははつきり見えるがね。

ルピツク夫人――よし。それぢや、袋戶棚を開けて、お皿を一枚持つて來て御覽、どれでもいゝ、若しお前さんが、ちやんと皿拭布をかけたといふなら、この曇り方はどうしたんだらう。[やぶちゃん注:「皿拭布」戦後版では、『さらふきん』とルビする。それを採る。]

オノリイヌ――戶棚の中に、濕りつ氣があるだね。

ルピツク夫人――そんなら、戶棚の中に、指が幾本もあるのかねえ。さうして、お皿の上をあつちこつちうろつき廻つてるのかねえ。この跡はなにさ。

オノリイヌ――あれま、何處にね、奧さん。なんにも見えませんよ。

ルピツク夫人――さうだらう? そいつを、あたしが咎めてるんだよ。いゝかい、婆や、あたしは、なにも、お前さんが骨惜しみをしてるつて云ひやしないよ。そんなことでも云つたら、そりや、あたしが間違ひだ。この土地で、お前さんぐらい精を出して働く女は一人だつでゐやしない。たゞ、お前さんは、年を取つて來た。尤も、あたしだつて年は取る。誰だつてみんな年を取るのさ。かうもしよう、あゝもしようと思つたつて、それだけぢやどうすることも出來ないやうになる。だからさ、お前さんだつて、時折りは、眼の中が、布を張つたやうに霞むこともあるだらうつていふのさ。いくらこすつても、なんにもならない。さうなつてしまつたんだから・・・。

オノリイヌ――それにしたつて、わしや、ちやんと眼は開けてるだよ。水桶の中へ顏を突込んだ時みたいに、皆目方角もわからないなんてこたあないんですけどね。

ルピツク夫人――いや、いや、あたしの云ふことは間違ひなし。昨日(きのふ)だつてさうだよ、旦那さんに、よごれたコツプを差上げたらう。あたしはなんにも云やしなかつた。なんだかんだつていふことになつて、お前さんがまた氣に病むといけないと思つてさ。旦那さんも、さうだ。なんにもおつしやらなかつた。これはまた、普段から、なんにもおつしやらない方だからね。だけど、なに一つ見逃しはなさらない。世間では、無頓着な人だと思つてるけど、こりや間違ひだ。それや、氣がつくんだからね。なんでも額の奧へ刻み込んどく。だから、そのコツプだつて、指で押しやつて、たゞそれだけさ。お晝には、辛棒して、たうとうなんにもお飮みにならなかつた。あたしや、お前さんと、旦那さんと、二人分、辛い思ひをしたよ。

オノリイヌ――そんな馬鹿な話つてあるもんぢやない。旦那さんが女中に氣兼ねするなんて・・・。さう云ひなさればいゝのに・・・。コツプを代へるぐらゐなんでもありやしない。

ルピツク夫人――それもさうだらう。だが、お前さんよりもつと拔目のない女たちが、どうしたつてあの人に口を利かせることは出來ないんだよ。旦那さんは、物を言ふまいつて決心していらつしやるんだからね。あたしは、もう諦めてる、自分ぢや。ところで、今話してるのは、そんなことぢやない。一と口に云つてみれば、お前さんの眼は日一日に弱つて來る。これが、洗濯だとか、なんとか、さういふ大きな仕事は、まあ、半分の粗相で濟むにしたところで、細かな仕事になると、これやもう、お前さんの手にやおへない。入費(かゝり)は殖えるけれど、しかたがない。あたしや、誰か、お前さんの手助けになる人をみつけようと思ふんだよ・・・。

オノリイヌ――わしや、ほかの女に尻いくつついていられちや、一緖にやつて行けませんや、奧さん。

ルピツク夫人――それを、こつちで云はうと思つてるとこさ。だとすると、どうしよう。正直なところ、あたしやどうすればいゝかねえ。

オノリイヌ――わしが死ぬまで、かういふ風にして、結構やつて行けますよ。

ルピツク夫人――お前さんが死ぬつて・・・? ほんとにそんなことを考へてるのかい。あたし達を生憎みんなお墓へ送り兼ねないお前さんぢやないか。そのお前さんが死ぬなんてことを、人が當てにしてるとでも思つてゐるのかい。

オノリイヌ――奧さんは、だけど、布きんのあてやうがちよつくら間違つてたぐらゐで、わしに暇をくれようつていふつもりは多分おあんなさるまい。だいいち、わしや、奧さんが出て行けつて云ひなさらにや、この家から離れませんよ。いつたん外へ出りや、けつく、野たれ死をするだけのこつた。[やぶちゃん注:「家」前例に徴して「うち」と訓じたい。]

ルピツク夫人――誰が暇を出すなんて云つたい、オノリイヌ。なにさ、そんな眞赤な顏をして・・・。あたしたちは、今、お互に、心置きなく話をしてるんだ。すると、お前さんは腹を立てる。お寺の本堂よりとてつもない無茶を云ひ出す。

オノリイヌ――わしにそんなこと云つたつて、しやうがないでせう。

ルピツク夫人――ぢや、あたしはどうなのさ。お前さんの眼が見えなくなつたのはお前さんの罪でもなく、あたしの罪でもない。お醫者に治(なほ)して貰ふさ。治ることだつてあるんだから。それはさうと、あたしと、お前さんと、一體、どつちが餘計難儀をしてるだらう。お前さんは、自分で眼を患(わづら)つてることも知らずにゐる。家中のものが、そのために不自由をする。あたしや、お前さんが氣の毒だから、萬一の粗相がないやうに、さう云つてあげたまでだ。それに、言葉優しく何をかうしろつて云ふ權利は、こりや、あたしにあると思ふからさ。[やぶちゃん注:「家中」戦後版を参考に「うちぢゆう」と読んでおく。]

オノリイヌ――いくらでも云つとくんなさい。どうにでも好きなやうになさるがいゝさ。わしや、さつき、ちつとの間、町の眞中へおつぽり出されたやうな氣がしたゞけれど、奧さんがさう云ひなさるなら安心しましたよ。わしの方でも、これから皿のこたあ氣をつけます。うけ合ひました。

ルピツク夫人――さうして貰へれや、なんにも云ふことはないさ。あたしや、これで、評判よりやましな人間だからね。どうしても云ふことを聽かない時は、これや仕方がないが、さもなけりや、お前さんを手放すなんてことはしないよ。

オノリイヌ――そんなら、奧さん、もうなんにも云ひなさるな。今といふ今、わしや、自分がまだ役に立つつて氣がして來ましたよ。もしも奧さんが出て行けつて云ひなすつたら、わしや、そんな法はないつて怒鳴るから・・・。だけども、そのうちに、自分で厄介者だつていうことがわかつたら、さうして、水を容れた鍋を火へかけて沸かすこともできんやうになつたら、そん時や、さつさと、ひとりで、追ひ出される前に出て行きますよ。

ルピツク夫人――何時なんどきでも、この家へ來れや、スープの殘りがとつてあるつてことを忘れずにね、オノリイヌ。[やぶちゃん注:「來れや」「これや」或いは「くれや」。「こりゃ」「くりゃ」。]

オノリイヌ――いゝや、奧さん、スープはいりません。パンだけで結構。マイツト婆さんは、パンだけしか食はないやうになつてから、てんで死にさうもないからね。

ルピツク夫人――それがさ、あの婆さんは、もう百を越してるんだからね。ところで、お前さんは、まだかういふことを知つてるかい? 乞食つていふものは、あたしたちより仕合せなんだよ。あたしがさういふんだから、オノリイヌ。

オノリイヌ――奧さんがさう云ふんなら、わしもさう云つとかう。

 

[やぶちゃん注:原本はここから。私は中学二年生の時に、ここを読んで、「慇懃無礼」という語を惨たらしくも理解したことを思い出す。しかも、私は永く、ヴァロトンの「にんじん」の挿絵の中で、選りによって、このオノリーヌの横顔のそれが、「にんじん」と言った瞬間、真っ先に想起されてしまうのである。それは、既に読者の方々が気づかれたであろう一点と、強烈に結びついているからだと思うのである。そう、小説「にんじん」の中で「にんじん」が名前さえも登場しないのは、この章だけなのである。実は、それはこの後にダイレクトな続篇として続く二篇「鍋」と「知らん顏」のある――厭な予感――「にんじん」の中の隠微な捩じれた闇――を無意識的に引き出させる効果を持っているからだと私は信じて疑わないのである。……いや!……このシークエンスの画面に映らぬ物陰に……「にんじん」は……いる!……息を潜めて……「にんじん」は、この二人の会話を聴いている「観客」なのである!…………

「萬聖節」キリスト教の祝日の一つ。これは日本での呼称で、原文の“Toussaint”という語の意味は「諸聖人の祝日」で、全ての聖人と殉敎者を記念する日。カトリツク教会礼暦では十一月一日である。

「お寺の本堂よりとてつもない無茶を云ひ出す」原文は“vous dites des bêtises plus grosses que l'église”で、“bêtises”(愚かなこと)、“grosses”(がさつな・ひどい)、“église”(カトリックの教会堂)であるから、確かに「あんたは、びっくりするほど大袈裟な教会堂みたいに、とんでもない愚かなことを言い出す。」といつた意味であるが、「お寺の本堂」ではちよつと日本人の比喩の感覚には相応しいとは言えない。昭和四五(一九七〇)年明治図書刊の『明治図書中学生文庫』14の倉田清訳「にんじん」では、教会の建物ではなく、厳格なカトリツク教会の組織の意味でとつて、『教会よりわけのわからない、くだらないことを言ったりしてさ。』と訳しておられる。但し、だとすると、原文の頭の“é”は、大文字で表わすのではないかとも思われる。一九九五年臨川書店刊の佃裕文訳の『ジュール・ルナール全集』3では、意訳して、『それをおまえさん、息巻いて、やみくもな馬鹿を言い出すんだから。』と訳しておられる。佃氏の意訳がよいと思うが、相応の補注は必要だろう。]

 

 

 

 

     Honorine

 

     MADAME LEPIC

   Quel âge avez-vous donc, déjà, Honorine ?

     HONORINE

   Soixante-sept ans depuis la Toussaint, madame Lepic.

     MADAME LEPIC

   Vous voilà vieille, ma pauvre vieille !

     HONORINE

   Ça ne prouve rien, quand on peut travailler. Jamais je n’ai été malade. Je crois les chevaux moins durs que moi.

     MADAME LEPIC

   Voulez-vous que je vous dise une chose, Honorine ? Vous mourrez tout d’un coup. Quelque soir, en revenant de la rivière, vous sentirez votre hotte plus écrasante, votre brouette plus lourde à pousser que les autres soirs ; vous tomberez à genoux entre les brancards, le nez sur votre linge mouillé, et vous serez perdue. On vous relèvera morte.

     HONORINE

   Vous me faites rire, madame Lepic ; n’ayez crainte ; la jambe et le bras vont encore.

     MADAME LEPIC

   Vous vous courbez un peu, il est vrai, mais quand le dos s’arrondit, on lave avec moins de fatigue dans les reins. Quel dommage que votre vue baisse ! Ne dites pas non, Honorine ! Depuis quelque temps, je le remarque.

     HONORINE

   Oh ! j’y vois clair comme à mon mariage.

     MADAME LEPIC

   Bon ! ouvrez le placard, et donnez-moi une assiette, n’importe laquelle. Si vous essuyez comme il faut votre vaisselle, pourquoi cette buée ?

     HONORINE

   Il y a de l’humidité dans le placard.

     MADAME LEPIC

   Y a-t-il aussi, dans le placard, des doigts qui se promènent sur les assiettes ? Regardez cette trace.

     HONORINE

   Où donc, s’il vous plaît, madame ? je ne vois rien.

     MADAME LEPIC

   C’est ce que je vous reproche, Honorine. Entendez-moi. Je ne dis pas que vous vous relâchez, j’aurais tort ; je ne connais point de femme au pays qui vous vaille par l’énergie ; seulement vous vieillissez. Moi aussi, je vieillis ; nous vieillissons tous, et il arrive que la bonne volonté ne suffit plus. Je parie que des fois vous sentez une espèce de toile sur vos yeux. Et vous avez beau les frotter, elle reste.

     HONORINE

   Pourtant, je les écarquille bien et je ne vois pas trouble comme si j’avais la tête dans un seau d’eau.

     MADAME LEPIC

   Si, si, Honorine, vous pouvez me croire. Hier encore, vous avez donné à monsieur Lepic un verre sale. Je n’ai rien dit, par peur de vous chagriner en provoquant une histoire. Monsieur Lepic, non plus, n’a rien dit. Il ne dit jamais rien, mais rien ne lui échappe. On s’imagine qu’il est indifférent : erreur ! Il observe, et tout se grave derrière son front. Il a simplement repoussé du doigt votre verre, et il a eu le courage de déjeuner sans boire. Je souffrais pour vous et lui.

     HONORINE

   Diable aussi que monsieur Lepic se gêne avec sa domestique ! Il n’avait qu’à parler et je lui changeais son verre.

     MADAME LEPIC

   Possible, Honorine, mais de plus malignes que vous ne font pas parler monsieur Lepic décidé à se taire. J’y ai renoncé moi-même. D’ailleurs la question n’est pas là. Je me résume : votre vue faiblit chaque jour un peu. S’il n’y a que demi-mal, quand il s’agit d’un gros ouvrage, d’une lessive, les ouvrages de finesse ne sont plus votre affaire. Malgré le surcroît de dépense, je chercherais volontiers quelqu’un pour vous aider…

     HONORINE

   Je ne m’accorderais jamais avec une autre femme dans mes jambes, madame Lepic.

     MADAME LEPIC

   J’allais le dire. Alors quoi ? Franchement, que me conseillez-vous ?

     HONORINE

   Ça marchera bien ainsi jusqu’à ma mort.

     MADAME LEPIC

   Votre mort ! Y songez-vous, Honorine ? Capable de nous enterrer tous, comme je le souhaite, supposez-vous que je compte sur votre mort ?

     HONORINE

   Vous n’avez peut-être pas l’intention de me renvoyer à cause d’un coup de torchon de travers. D’abord je ne quitte votre maison que si vous me jetez à la porte. Et une fois dehors, il faudra donc crever ?

     MADAME LEPIC

   Qui parle de vous renvoyer, Honorine ? Vous voilà toute rouge. Nous causons l’une avec l’autre, amicalement, et puis vous vous fâchez, vous dites des bêtises plus grosses que l’église.

     HONORINE

   Dame ! est-ce que je sais, moi ?

     MADAME LEPIC

   Et moi ? Vous ne perdez la vue ni par votre faute, ni par la mienne. J’espère que le médecin vous guérira. Ça arrive. En attendant, laquelle de nous deux est la plus embarrassée ? Vous ne soupçonnez même pas que vos yeux prennent la maladie. Le ménage en souffre. Je vous avertis par charité, pour prévenir des accidents, et aussi parce que j’ai le droit, il me semble, de faire, avec douceur, une observation.

     HONORINE

   Tant que vous voudrez. Faites à votre aise, madame Lepic. Un moment je me voyais dans la rue ; vous me rassurez. De mon côté, je surveillerai mes assiettes, je le garantis.

     MADAME LEPIC

   Est-ce que je demande autre chose ? Je vaux mieux que ma réputation, Honorine, et je ne me priverai de vos services que si vous m’y obligez absolument.

     HONORINE

   Dans ce cas-là, madame Lepic, ne soufflez mot. Maintenant je me crois utile et je crierais à l’injustice si vous me chassiez. Mais le jour où je m’apercevrai que je deviens à charge et que je ne sais même plus faire chauffer une marmite d’eau sur le feu, je m’en irai tout de suite, toute seule, sans qu’on me pousse.

     MADAME LEPIC

   Et sans oublier, Honorine, que vous trouverez toujours un restant de soupe à la maison.

     HONORINE

   Non, madame Lepic, point de soupe ; seulement du pain. Depuis que la mère Maïtte ne mange que du pain, elle ne veut pas mourir.

     MADAME LEPIC

   Et savez-vous qu’elle a au moins cent ans ? et savez-vous encore une chose, Honorine ? les mendiants sont plus heureux que nous, c’est moi qui vous le dis.

     HONORINE

   Puisque vous le dites, je dis comme vous, madame Lepic.

 

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