「博物誌」ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ボナール挿絵+オリジナル新補注+原文) 「鴉」
[やぶちゃん注:本電子化はサイトの「心朽窩新館」で偏愛する『ジュール・ルナール「博物誌」岸田国士訳(附 Jules Renard “ Histoires Naturelles ”原文+やぶちゃん補注版)』を公開している(新字新仮名戦後版)が、今回は国立国会図書館デジタルコレクションの正字正仮名のもの、戦前の岸田國士譯ジュウル・ルナアル 「博物誌」(昭一四(一九三九)年白水社刊)の画像(リンク先は当該書の標題附き扉二)を視認出来るようになったことから、それをブログ版として、新規まき直しで、零から始めることとしたものである。詳しくは初回の冒頭注を参照されたい。
また、ボナールの画像に就いては、十六年前のそれではなく、再度、新潮文庫版のそれを、新たにOCRで読み込み、補正・清拭して用いる。注も一からやり直すこととし、原文は前回のものを調べたところ、アクサンテギュの落ちが有意に認められたので(サイト版は敢えてそのままにしておいた)、新たにフランスのサイト“TEXTES LIBRES”の電子化された同書原文のものをコピー・ペーストさせて戴くこととすることとした。]
鴉
「なんだ(コア)? なんだ(コア)? なんだ(コア)?」
「なんでもない」
[やぶちやん注:スズメ目カラス科カラス属 Corvus sp.。
「なんだ(コア)?」「コア」は「なんだ」へのルビ。“QUOI”という語は発音が「クゥワァ」で、カラスの鳴き声のオノマトペイアを狙いつつ、実際の疑問代名詞の単語“quoi”、「何が?」「何だぁ?」「えっ?」という意味を掛けたもの。俗語では単なる聴き返しにも用いるが、卑語・不服な相手に挑戦的に反問したり、軽蔑的ニュアンスで口を尖らして言う際に用いるから、カラスの太々しい風貌と厭な鳴き声に、これまた、まっこと相応しいのである。]
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LE CORBEAU
- QUOI ? QUOI ? QUOI ?
- Rien.
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