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2023/11/28

フライング単発 甲子夜話卷十七 18 老狸紡車よなり殺さるゝ事

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。]

 

17―18

 領内にて、獵夫、「ねらゐ」と云(いひ)て、曉前(あかつきまへ)に山野に鹿を打(うち)に往く。

 其をりしも、待(まち)ゐたる間に、一婦(いつぷ)の紡車(つむぎぐるま)を𢌞し、木綿を引(ひく)體(てい)なり。

 獵夫、怪しみ、

「野外、人家あらず。且、曉前なり。女子(をなご)の居るべきよう[やぶちゃん注:ママ。]なし。これ、妖ならん。」

と、持(もち)たる鳥銃(てつぱう)にて、その女を打(うち)しに、胸のほどに中(あたり)けれども、動かず、やはり、車を𢌞すゆゑ、又、二發、打(うち)て、中れども、如ㇾ始(はじめのごと)し。

 因(よつ)て、獵夫、所存を替(か)へ、この度は、紡車を、ねらひ打たるに、物音して、倒れたり。

 乃(すなはち)、走り往きて視れば、大(だい)なる老狸(らうり)の、鉛(なまり)に中り、斃(たふ)れて、其側(そのそば)に、石、立てり。

 女と見えしは、石にて、狸は、紡車に幻じて欺(あざむ)きしなり。

■やぶちゃんの呟き

「ねらゐ」不詳。「狙居」か。夜明けよりも前の真っ暗な暁時に山野に出向いて、凝っと隠れて動かずに居て、獲物の鹿を狙い待つことと採る。

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