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2023/11/06

「博物誌」ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ボナール挿絵+オリジナル新補注+原文) 「驢馬」

[やぶちゃん注:本電子化はサイトの「心朽窩新館」で偏愛する『ジュール・ルナール「博物誌」岸田国士訳(附 Jules Renard “ Histoires Naturelles ”原文+やぶちゃん補注版)』を公開している(新字新仮名戦後版)が、今回は国立国会図書館デジタルコレクションの正字正仮名のもの、戦前の岸田國士譯ジュウル・ルナアル 「博物誌」(昭一四(一九三九)年白水社刊)の画像(リンク先は当該書の標題附き扉二)を視認出来るようになったことから、それをブログ版として、新規まき直しで、零から始めることとしたものである。詳しくは初回の冒頭注を参照されたい。

 また、ボナールの画像に就いては、十六年前のそれではなく、再度、新潮文庫版のそれを、新たにOCRで読み込み、補正・清拭して用いる。注も一からやり直すこととし、原文は前回のものを調べたところ、アクサンテギュの落ちが有意に認められたので(サイト版は敢えてそのままにしておいた)、新たにフランスのサイト“TEXTES LIBRES”の電子化された同書原文のものをコピー・ペーストさせて戴くこととすることとした。

 

 

    

 

 

 何があらうと、彼は平氣だ。每朝、彼は小役人のやうにせかせかせした、ごつい、小刻みな足どりで、配達夫のジャッコを車に載せて行き、ジャッコは、町で賴まれて來たことづけや、香料とか、麺麭とか、肉屋の肉とか、二三の新聞、一通の手紙などを村々の家へ屆けて廻る。

 この巡囘が了ると、ジャッコと驢馬は今度は自分たちのために働く。馬車が荷車の代りになる。彼等は一緖に葡萄畑、林や、馬鈴薯畑に出掛けて行く。そして或る時は野菜を、或る時はまだ綠(あを)[やぶちゃん注:ママ。]い箒草をといふ風に、あれや、これや、日によつていろんなものを積んで歸る。

 ジャッコはひつきりなしに、なんの意味もなく、まるで鼾でもかくやうに、「ほい! ほい!」と云つてゐる。時々、驢馬はふつと薊の葉を嗅いでみたり、急に何か氣紛れを起したりすると、もう步かなくなる。するとジャッコは彼の頸を抱きながら、前へ押し出さうとする。それでも驢馬がいふことを聽かないと、ジャッコは彼の耳に嚙みつく。

 彼等は堀のなかで食事をする。主人は喰ひ殘しの麵麭と玉葱を喰ひ、驢馬は勝手に好きなものを喰ふ。

 彼等が歸る時は、もう夜になつてゐる。彼等の影が、樹から樹へ、のろのろと通り過ぎて行く。

 突然、ものみながその底に沈み、そして既に眠つてゐたあたりの靜寂の湖が、けたたましく崩れ落ちる。

 いつたい何處の女房が、こんな時間に、錆びついた井戶車を軋ませながら一生懸命井戶の水を汲み上げてゐるのだらう?

 それは、驢馬が歸つて來ながら、ありつたけの聲を振絞つて、なに平氣だ、なに平氣だと、聲が嗄(か)れるほど啼き續けてゐるのである。

 

 

 

 

 

     驢馬

 

 

 大人になつた兎。

 

Roba

 

[やぶちゃん注:五行空け(次のページで独立した格好に見かけ上は見える。但し、標題の「驢馬」は本文と同じ大きさで、太字でもなく、字間もない)はママ。哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属ロバ亜属アフリカノロバ亜種ロバ Equus africanus asinus

「ジャッコ」“Jacquot”は男性名「ジャック」(“Jacques”)の愛称であるが、一般名詞では西アフリカ産の鸚鵡(おうむ)を指し、“grand Jacquot”(グラン・ジャッコ)は卑称語で「お喋りな馬鹿者」の意もある。]

 

 

 

 

L'ANE

 

I

Tout lui est égal. Chaque matin, il voiture, d'un petit pas sec et dru de fonctionnaire, le facteur Jacquot qui distribue aux villages les commissions faites en ville, les épices, le pain, la viande de boucherie, quelques journaux, une lettre.

Cette tournée finie, Jacquot et l'âne travaillent pour leur compte. La voiture sert de charrette. Ils vont ensemble à la vigne, au bois, aux pommes de terre. Ils ramènent tantôt des légumes, tantôt des balais verts, ça ou autre chose, selon le jour.

Jacquot ne cesse de dire : “ Hue ! hue ! ” sans motif, comme il ronflerait. Parfois l'âne, à cause d'un chardon qu'il flaire, ou d'une idée qui le prend, ne marche plus.

Jacquot lui met un bras autour du cou et pousse. Si l'âne résiste, Jacquot lui mord l'oreille.

Ils mangent dans les fossés, le maître une croûte et des oignons, la bête ce qu'elle veut.

Ils ne rentrent qu'à la nuit. Leurs ombres passent avec lenteur d'un arbre à l'autre.

Subitement, le lac de silence où les choses baignent et dorment déjà, se rompt, bouleversé.

Quelle ménagère tire, à cette heure, par un treuil rouillé et criard, des pleins seaux d'eau de son puits ?

C'est l'âne qui remonte et jette toute sa voix dehors et brait, jusqu'à extinction, qu'il s'en fiche, qu'il s'en fiche.

 

II

Le lapin devenu grand.

 

[やぶちゃん注:標題“L'ANE”では、 “A”の上のアクサン・シルコンフレックス(「^」:accent circonflexe)がないが、現在は知らないが、古くは、大文字では表記しないのが普通のようである。「Internet archive」の原書の一つ(初版は一八九六年版であるが、これは、後の一九〇四年のフラマリオン版)の当該項を見ても、“L'Ane”で、アクサン・シルコンフレックスは、ない。]

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