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2023/11/08

フライング単発 甲子夜話卷十 25 盜、僧俗となり相爭て人を欺く事

[やぶちゃん注:現在、作業中である柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」のために必要となったので、フライングして電子化する。句読点の変更・追加と、読み・記号・改行・段落を加えた。標題は「ぬすつと、そう・ぞくとなり、あひあらそひて、ひとを、あざむくこと」と読んでおく。]

 

 近年の事か、柳原の土手にて、修驗(しゆげん)と士と、口論し、追々、言(いひ)つのり、喧嘩に及ぶ。

 因(よつ)て、あたりの人、寄集(よりあつまり)て如ㇾ堵(かきねのごとし)。

 かくする中(うち)、修驗、云(いふ)には、

「汝、武士と雖ども、我(われ)、加持力(かぢりき)あり。これを用(もちひ)るときは、刃(やいば)も、拔くこと、不ㇾ能。」

 士、憤(いかり)て曰(いはく)、

「若(もし)、そのごとくならば、我を祈れ。卽座に、汝を斬(きら)ん。」

 修驗、

「心得たり。」

迚(とて)、輙(すなはち)、印を結び、呪文を誦ふ。

 士、怒(いかり)て、柄(つか)に手をかけ、刀を拔(ぬか)んとするに、不ㇾ拔。

 見(みる)者、傳聞(つたへきき)て、彌々(いよいよ)、囲(かこみ)をなす。

 土手に軒(のき)を比(ひ)する肆店(してん)の商賈(しやうか/あきんど)も、皆、來り、視る。

 かくする中(うち)、士、怒ること、甚しく、力を励(はげま)して、刀を拔くに、刃、鞘を出ること、三、四寸。

 祈ㇾ之れば、復(また)、鞘中(さやなか)に躍り入る。

 如ㇾ此なること、屢〻(しばしば)なり。

 修驗、乃(すなはち)、祈りて、不ㇾ止(やまず)。

 士、竟(つひ)に、拔くこと、不ㇾ能。

 これを慙(はぢ)て、衆人の中に逃入(にげい)り、不ㇾ見。

 見者(みるもの)、相顧(あひかへり)み、大(おほい)に笑(わらひ)て、分散す。

 商賈、各(おのおの)、その店に還(かへり)て視るに、肆中(しちゆう)の買物(うりもの)、失(うせ)て、亡きもの、數多(あまた)なり。

 然(さ)れば、さきの口論は、盗(ぬすみ)の奸計にして、肆店の物は、その党類(たうるゐ)、謀り合せて、奪(うばひ)たるなり。

 眞(まこと)に奇策、咲(わら)ふも、餘りあり。

■やぶちゃんの呟き

「柳原」東京都千代田区の北東部で、神田川南岸の万世橋から浅草橋に至る地域の古くからの通称(グーグル・マップ・データ)。神田川右岸の通り。現在も「通り」名として「柳原通り」が残る。

「土手に軒を比する肆店」「肆店」はものを売る店。しかも、土手の高さに同じくらい軒が高いのであるから、金持ちの高級品を売買する商家である。]

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