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2023/11/26

「にんじん」ジュウル・ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ヴァロトン挿絵+オリジナル新補注+原文) 「苜蓿(うまごやし)」

[やぶちゃん注:ジュール・ルナール(Jules Renard 一八六四年~一九一〇年)の “ Poil De Carotte(原題は訳すなら「人参の毛」であるが、これはフランス語で、昔、「赤毛の子」を指す表現である。一八九四年初版刊行)の岸田国士による戦前の翻訳である。

 私は既にサイト版「にんじん ジュウル・ルナアル作 岸田国士訳 挿絵 フェリックス・ヴァロトン(注:やぶちゃん copyright 2008 Yabtyan)」で、新字新仮名遣のそれを十五年前に電子化注している。そこでは、底本は岩波文庫版(一九七六年改版)を用いたが、今回は、国立国会図書館デジタルコレクションのジュウル・ルナアル作岸田國士譯「にんじん」(昭和八(一九三三)年七月白水社刊。リンクは標題のある扉)を用い、正字正仮名遣で電子化し直し、注も新たにブラッシュ・アップする。また、本作の挿絵の画家フェリックス・ヴァロトンFelix Vallotton(一八六五年~一九二五年:スイス生まれ。一八八二年にパリに出、「ナビ派」の一員と目されるようになる。一八九〇年の日本版画展に触発され、大画面モノクロームの木版画を手掛けるようになる。一九〇〇年にフランスに帰化した)の著作権も消滅している。上記底本にはヴァロトンの絵はない(当時は、ヴァロトンの著作権は継続していた)が、私は彼の挿絵が欠かせないと思っているので、岩波版が所載している画像を、今回、再度、改めて取り込み、一部の汚損等に私の画像補正を行った。

 ルビ部分は( )で示したが、ざっと見る限り、本文を含め、拗音・促音は使用されていないので、それに従った。傍点「丶」は下線に代えた。底本の対話形式の部分は、話者が示されダッシュとなる一人の台詞が二行に亙る際、一字下げとなっているが、ブラウザの不具合が起きるので、詰めた。三点リーダは「…」ではなく、「・・・」であるのはママである。各話の末尾に若い読者を意識した私のオリジナルな注を附した(岸田氏の訳は燻し銀であるが、やや語彙が古いのと、私(一応、大学では英語が嫌いなので、第一外国語をフランス語にした)でも、原文と照らしてみて、首をかしげる部分が幾分かはある。中学二年生の時、私がこれを読んだときに立ち返ってみて、当時の私なら、疑問・不明に思う部分を可能な限り、注した。原文はフランスのサイト“Canopé Académie de Strasbourg”の“Jules Renard OIL DE CAROTTE (1900)”PDF)のものをコピーし、「Internet archive」の一九〇二年版の原本と校合し、不審箇所はフランス語版“Wikisource”の同作の電子化も参考にした。詳しくは、初回の冒頭注を参照されたい。

 

Umagoyasi

  

     苜 蓿(うまごやし)

 

 

 にんじんと兄貴のフエリツクスは、夕方のお禱りから歸ると、急いで家へはひる。それは、四時のおやつだからである。

 兄貴のフエリツクスは、バタやジヤミをつけたパンを貰ふことになつてゐる。それから、にんじんは、なんにもつけないパンである。なぜなら、彼は、あんまり早く大人のふりをしようと思つて、みんなの前で、自分は食ひ心棒ぢやないと宣言したからである。彼はなんでも自然のまゝが好きだ。平生、好んで、パンを何もつけずに食ふのである。で、その晚もやはり、兄貴のフエリツクスより早く步く――自分が先に貰ひたいからである。

 時として、何んにもつけないパンは固い。すると、にんじんは、敵に向ふやうにそれにぶつかつて行くのである。ぎゆつと摑む。嚙りつく。頭をぶつける。粉ごなにする。そして、かけらを飛ばす。まわりに居並ぶ親同胞(きようだい)は、珍しさうにそれを見てゐる。

 駝鳥のやうな彼の胃の腑は、石だらうが、靑錆のついた古銅貨だらうが、わけなく消化するに違ひない。

 要するに、彼はちつとも食べ物の選り好みをしない。

 彼は戶の鐉(かけがね)を引く。閉まつてゐるのである。

 「父さんも母さんもゐないんだよ、きつと・・・。足で蹴つてごらん、よう」

と、彼が云ふ。

 兄貴のフエリツクスは、「こん畜生」と云ひながら、釘の頭が並んでゐる重い戶にぶつかつて行く。戶は暫く音を立てゝゐる。それから二人は、力を併せて、肩で押す。無駄である。

 

にんじん――たしかに、ゐないよ。

兄貴のフエリツクス――何處へ行つたんだらう。

にんじん――そこまではわからん。坐らう。

 

 階段の踏石が尻に冷たく二人は近來稀な空腹を感じる。欠伸をしたり、心落を握拳で叩いたりして、その激しさを訴へる。[やぶちゃん注:「心落」「みぞおち」。鳩尾。]

 

兄貴のフエリツクス――歸るまで待つてると思つたら間違ひだぞ。

にんじん――そいぢや、ほかにうまい工夫があるかい。

兄貴のフエリツクス――待つてなんかゐるもんか。飢え死をしたかないからなあ、おれは・・・。今すぐ食ひたいんだ。なんでもいゝ、草でもいゝ。

にんじん――草・・・! ぞいつあ面白い。父さんや母さんも、それを聞いたらぎやふんだ。[やぶちゃん注:「ぞいつ」はママ。誤植か。]

兄貴のフエリツクス――だつて、サラダを食べるぢやないか。此處だけの話だけど、苜蓿(うまごやし)なんか、サラダとおんなじに軟かいよ。つまり、油と酢をつけないサラダさ。

にんじん――搔きまわすこともいらないし・・・。

兄貴のフエリツクス――賭けをしよう。僕も、苜蓿(うまごやし)なら食べるよ。お前は食べられないぜ、きつと。

にんじん――どうして、兄さんに食べられて、僕に食べられないんだい?

兄貴のフエリツクス――さ、いゝから賭けをしよう。いやか?

にんじん――うん、だけど、その前に、お隣へ行つて、パンを一片(きれ)づゝと、それヘ凝乳(ヨーグルト)を少し貰つて來たら?

兄貴のフエリツクス――僕あ苜蓿の方がいゝ。

にんじん――行かう。

 

 やがて苜蓿の畑が、美味(うま)さうな綠の葉を、彼らの眼の下にひろげる。その中にはひつて行くと二人は、面白がつて靴を引き摺る。軟かい莖を踏み切る。細い道をつける。

 ――なんだらう、どんな獸だらう、此處を通つたのは・・・?

 何時までも、人は心配をして、かう云ふに違ひない。

 ぼつぼつ疲れ加減になつて來た脛(はぎ)のあたりへ、ズボンを透して、ひやりとしたものが滲み込んで來る。[やぶちゃん注:「滲み込んで」戦後版では『浸(し)み込んで』とある。ここもその読みを採る。]

 彼等は畑の眞中で止る。そして、べつたり、腹這ひになる。

 「好い氣持だね」と、兄貴のフエリツクスが云ふ。

 顏がくすぐつたい。それで二人は、むかし同じ寢床の中で寢た時のやうにふざけるのである。あの頃、すると、ルピツク氏が、隣の部屋から呶鳴つたものだ――

 「もう眠ろよ、餓鬼ども!」

 彼等は饑じさを忘れ、水夫の眞似をして泳ぎを始める。それから犬の眞似をし、蛙の眞似をする。二つの頭だけが浮き出てゐる。彼らは、碎け易い小さな綠の波を手で搔きわけ、足で押しのける。波は、崩れたまゝ、もとの形を取らない。[やぶちゃん注:「饑じさ」「ひもじさ」。]

 「僕、頤までつくよ」

と、兄貴のフエリツクスが云へば、

 「こら、こんなに進むぜ」

と、にんじんが云ふ。

 ひと息ついて、もつと靜かに、自分たちの幸福を味ふべきである。

 そこで、兩肱をついて、土龍の掘つた塜を見渡してみる。それは、老人の皮膚に盛り上る血管のやうに、電光形を描いて地面に盛り上つてゐる。時に見失つたかと思ふと、また空地へ行つてひよつこり顏を出してゐる。その空地には、上等な苜蓿を喰ひ荒す性(たち)のよくない寄生虫、コレラのような菟絲子(ねなしかづら)が、赤ちやけた纖維の髭を伸ばしてゐる。土龍(もぐら)の塜は、そこで、印度風に建てられた小屋そのまゝ、一塊りになつて小さな村を形づくつてゐる。

 「することはこれつきりぢやないぜ。おい、食べよう。はじめるよ。僕の領分にさわつちやいけないよ」

 兄貴のフエリツクスはかう云ふ。そして、片腕を半徑に、彼は圓弧を描く。

 「僕あ、殘つてるだけで澤山だ」

と、にんじんが云ふ。

 二つの頭がかくれる。もう何處にゐるかわからない。

 風が靜かな吐息を送つて、苜蓿の薄い葉をひるがへすと、蒼白いその裏が見える。そして、畑一面に身ぶるひが傳はる。

 兄貴のフエリツクスは、しこたま草を引き拔いて、そいつを頭の上に被り、盛に口の中へ詰め込むふりをする。そして、乳を放れたばかりの犢が、草を食ふ時に齒を嚙み合せる、その音の眞似までして見せる。彼は根でもなんでも食つてしまふやうに見せかける。世の中を識つてゐるからである。處が、にんじんは、それをほんとだと思ふ。たゞ、もつと上品に、美しい葉のところだけを撰るのである。[やぶちゃん注:「撰る」「える」。]

 鼻の先でそいつを曲げ、口ヘもつて來て、悠然と嚙みしめる。

 どうして急ぐ必要がある?

 テーブルを時間で借りたわけでもなく、橋の上に市が立つてゐるわけでもない。

 齒を軋(きし)ませ、舌を苦くし、胸をむかむかさせながら、彼は吞み込む。なるほど御馳走である。

 

[やぶちゃん注:原本はここから。

「苜蓿(うまごやし)」被子植物門双子葉植物綱マメ目マメ科マメ亜科ウマゴヤシ属ウマゴヤシ Medicago polymorpha 若しくは、ウマゴヤシ属 Medicago の種。ヨーロッパ(地中海周辺)原産の牧草。江戸時代頃、国外の荷物に挟み込む緩衝材として本邦に渡来した帰化植物である。葉の形はシロツメクサ(クローバー:マメ科シャジクソウ属 Trifolium 亜属 Trifoliastrum 節シロツメクサ Trifolium repens )に似ている(シロツメクサの若葉ならば、食用になる。それなら、私も食べたことがある)。『ジュウル・ルナアル「ぶどう畑のぶどう作り」附 やぶちゃん補注』でもお馴染みのアイテムである。

 「四時のおやつ」原文は“quatre heures”(音写はリエゾンで「キャトルール」となる。「四」を意味する“quatre”に、“heures”は「時間」)。フランスでは「おやつ」は午後四時である。

「駝鳥」ダチョウ目ダチョウ科ダチョウ Struthio camelus であるが、ダチョウは基本は草食ながら、昆虫等も食べる雑食性。齒を持たず、丸呑みするため、ニワトリと同じく胃の下に砂肝があつて、そこに「グリッド」と稱する小石を蓄えておき、消化補助に用いている。しばしば、磨り減つたグリツドを補給するために、ダチョウが小石を飲む現象を見かけるという。直後に「石」を持ってきたルナールは、きつとそうした生態を知っていたのであろう。

「鐉」本字は音「セン・テン」で、門戸の開閉をするための樞(とぼそ・くるる=回転軸)を嵌め込むための半球状の金具を指す漢語である。私自身、その形状を明確にイメージすることが出来ずにゐるが、要はドアの壁面との接合金具を指すのであろう。原文は“le loquet”で、岸田氏は本字を「かけがね」と訓じており、仏和辞典でもそうあるが、しかし、「掛け金」というのは、二対一組の鍵の一方を指す語であり、もう一方の金具に掛けて開かないようにするための金具を指す。ここでは、明らかにそのようなものではない(門扉の「引く」部分では断じてないという意味で、である)。ドアの把手(とって)として打ち込まれた金具、大きな釘とか、手を掛けられる鎹(かすがい)のようなものを指していると私には思われる。

「菟絲子」双子葉植物綱キク亜綱ナス目ネナシカズラ科(ヒルガオ科ともする)ネナシカズラ属 Cuscuta の葉緑体を持たない寄生植物で、いろいろな植物に絡み付き、寄生根を出して宿主の栄養分を吸収し、枯死させる。ヨーロッパ固有種であるクシロネナシカズラ Cuscuta europaea としてよいように思われる。フランス語の当該種のウィキ“Cuscute d'Europeで草体・糸球体の画像を見ることが出来る。

「印度風に建てられた小屋」原文では、“à la mode indienne”であるが、ここは“indienne”の意味の取り方によつて、二つの考え方が出来る。一つは、岸田氏の訳のまさに「印度の」の意にとつて、墳墓としてのインドの“stûpa” (ストゥーパ:サンスクリツト語。「卒塔婆」の語源として知られる)をイメージし、所謂、土饅頭風の意味でとるのである。昭和四五(一九七〇)年明治図書刊の『明治図書中学生文庫』14の倉田清訳の「にんじん」も、これを採用している。一方、もう一つは、それを「アメリカ・インディアンの」の意に採って、お馴染みの円錐型テントのアメリカ・インディアンの簡易型住居である「ティピー」の意でとる方法である。岸田先生には悪いが、可能性としては、私は後者の方が当時の少年少女のイメージするものとしては、自然で判りがいいであろう。確認したところ、一九九五年臨川書店刊の佃裕文訳の「ジュール・ルナール全集3」でも『インディアン風の小屋さながら微小な集落をかたちづくつてゐる。』と譯しておられる。但し、私のモグラの「塜」(「塚」「塚」の異体字)の映像的イメージとしては、前者の土饅頭の方が、断然、しっくりとは、くるのであるが。

 因みに、本章は私の「にんじん」初体験時で、最も印象的な章の一つであり、ヴァロトンの挿絵とともに、私には――幼少の頃、確かに、「にんじん」と「フェリックス」と三人で「苜蓿」をむしゃむしゃと食ったデジャ・ヴュ(déjà-vu":既視感)が――ある――のである!――

 以下の原文は、原本と比較して一部に一行空けを行った。但し、原本には一部、不審な箇所がある。]

 

 

 

    La Luzerne

 

   Poil de Carotte et grand frère Félix reviennent de vêpres et se hâtent d’arriver à la maison, car c’est l’heure du goûter de quatre heures.

   Grand frère Félix aura une tartine de beurre ou de confitures, et Poil de Carotte une tartine de rien, parce qu’il a voulu faire l’homme trop tôt, et déclaré, devant témoins, qu’il n’est pas gourmand. Il aime les choses nature, mange d’ordinaire son pain sec avec affectation et, ce soir encore, marche plus vite que grand frère Félix, afin d’être servi le premier.

   Parfois le pain sec semble dur. Alors Poil de Carotte se jette dessus, comme on attaque un ennemi, l’empoigne, lui donne des coups de dents, des coups de tête, le morcelle, et fait voler des éclats. Rangés autour de lui, ses parents le regardent avec curiosité.

   Son estomac d’autruche digérerait des pierres, un vieux sou taché de vert-de-gris.

   En résumé, il ne se montre point difficile à nourrir.

   Il pèse sur le loquet de la porte. Elle est fermée.

   Je crois que nos parents n’y sont pas. Frappe du pied, toi, dit-il.

   Grand frère Félix, jurant le nom de Dieu, se précipite sur la lourde porte garnie de clous et la fait longtemps retentir. Puis tous deux, unissant leurs efforts, se meurtrissent en vain les épaules.

 

     POIL DE CAROTTE

   Décidément, ils n’y sont pas.

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Mais où sont-ils ?

     POIL DE CAROTTE

   On ne peut pas tout savoir. Asseyons-nous.

 

   Les marches de l’escalier froides sous leurs fesses, ils se sentent une faim inaccoutumée. Par des bâillements, des chocs de poing au creux de la poitrine, ils en expriment toute la violence.

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   S’ils s’imaginent que je les attendrai !

     POIL DE CAROTTE

   C’est pourtant ce que nous avons de mieux à faire.

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Je ne les attendrai pas. Je ne veux pas mourir de faim, moi. Je veux manger tout de suite, n’importe quoi, de l’herbe.

     POIL DE CAROTTE

   De l’herbe ! c’est une idée, et nos parents seront attrapés.

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Dame ! on mange bien de la salade. Entre nous, de la luzerne, par exemple, c’est aussi tendre que de la salade. C’est de la salade sans l’huile et le vinaigre.

     POIL DE CAROTTE

   On n’a pas besoin de la retourner.

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Veux-tu parier que j’en mange, moi, de la luzerne, et que tu n’en manges pas, toi ?

     POIL DE CAROTTE

   Pourquoi toi et pas moi ?

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Blague à part, veux-tu parier ?

     POIL DE CAROTTE

   Mais si d’abord nous demandions aux voisins chacun une tranche de pain avec du lait caillé pour écarter dessus ?

     GRAND FRÈRE FÉLIX

   Je préfère la luzerne.

     POIL DE CAROTTE

   Partons !

 

   Bientôt le champ de luzerne déploie sous leurs yeux sa verdure appétissante. Dès l’entrée, ils se réjouissent de traîner les souliers, d’écraser les tiges molles, de marquer d’étroits chemins qui inquiéteront longtemps et feront dire :

   Quelle bête a passé par ici ?

   À travers leurs culottes, une fraîcheur pénètre jusqu’aux mollets peu à peu engourdis.

   Ils s’arrêtent au milieu du champ et se laissent tomber à plat ventre.

   On est bien, dit grand frère Félix.

   Le visage chatouillé, ils rient comme autrefois quand ils couchaient ensemble dans le même lit et que M. Lepic leur criait de la chambre voisine :

   Dormirez-vous, sales gars ?

   Ils oublient leur faim et se mettent à nager en marin, en chien, en grenouille. Les deux têtes seules émergent. Ils coupent de la main, refoulent du pied les petites vagues vertes aisément brisées. Mortes, elles ne se referment plus.

   J’en ai jusqu’au menton, dit grand frère Félix.

   Regarde comme j’avance, dit Poil de Carotte.

   Ils doivent se reposer, savourer avec plus de calme leur bonheur.

   Accoudés, ils suivent du regard les galeries soufflées que creusent les taupes et qui zigzaguent à fleur de sol, comme à fleur de peau les veines des vieillards. Tantôt ils les perdent de vue, tantôt elles débouchent dans une clairière, où la cuscute rongeuse, parasite méchante, choléra des bonnes luzernes, étend sa barbe de filaments roux. Les taupinières y forment un minuscule village de huttes dressées à la mode indienne.

   Ce n’est pas tout ça, dit grand frère Félix, mangeons. Je commence. Prends garde de toucher à ma portion.

   Avec son bras comme rayon, il décrit un arc de cercle.

   J’ai assez du reste, dit Poil de Carotte.

   Les deux têtes disparaissent. Qui les devinerait ?

   Le vent souffle de douces haleines, retourne les minces feuilles de luzerne, en montre les dessous pâles, et le champ tout entier est parcouru de frissons.

   Grand frère Félix arrache des brassées de fourrage, s’en enveloppe la tête, feint de se bourrer, imite le bruit de mâchoires d’un veau inexpérimenté qui se gonfle. Et tandis qu’il fait semblant de dévorer tout, les racines même, car il connaît la vie, Poil de Carotte le prend au sérieux et, plus délicat, ne choisit que les belles feuilles.

   Du bout de son nez il les courbe, les amène à sa bouche et les mâche posément.

   Pourquoi se presser ?

   La table n’est pas louée. La foire n’est pas sur le pont.

   Et les dents crissantes, la langue amère, le coeur soulevé, il avale, se régale.

 

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