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2023/11/17

「博物誌」ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ボナール挿絵+オリジナル新補注+原文) 「燕」

[やぶちゃん注:本電子化はサイトの「心朽窩新館」で偏愛する『ジュール・ルナール「博物誌」岸田国士訳(附 Jules Renard “ Histoires Naturelles ”原文+やぶちゃん補注版)』を公開している(新字新仮名戦後版)が、今回は国立国会図書館デジタルコレクションの正字正仮名のもの、戦前の岸田國士譯ジュウル・ルナアル 「博物誌」(昭一四(一九三九)年白水社刊)の画像(リンク先は当該書の標題附き扉二)を視認出来るようになったことから、それをブログ版として、新規まき直しで、零から始めることとしたものである。詳しくは初回の冒頭注を参照されたい。

 また、ボナールの画像に就いては、十六年前のそれではなく、再度、新潮文庫版のそれを、新たにOCRで読み込み、補正・清拭して用いる。注も一からやり直すこととし、原文は前回のものを調べたところ、アクサンテギュの落ちが有意に認められたので(サイト版は敢えてそのままにしておいた)、新たにフランスのサイト“TEXTES LIBRES”の電子化された同書原文のものをコピー・ペーストさせて戴くこととすることとした。

 

 

   (つばめ)

 

 

 彼女らは私に課業を授けてくれる。

 先づ、その小刻みな啼き聲で、空中に點線を描く。

 一本の直線を引き、その最後にコンマを打つたと思ふと、そこで急に行を變へる。

 途方もなく大きな括弧を描いて、私の住んでゐる家をその中に入れてしまふ。

 庭の泉水もその飛ぶ姿を寫しとることができないほど、素早く、それこそ穴倉から屋根裏へ眞つ直に飛び上つて行く。

 翼の羽根ペンも輕やかに、彼女らはぐるぐると誰にも眞似できない花押(かきはん)を書きなぐる。

 それから、今度は二羽づつ抱き合つたまま、みんな一緖に集り、ごちやごちやに塊つて、空の靑地の上へ、べつたりインクの汚點(しみ)をつける。

 然し、ただ一人の友達の眼だけが、彼女らの姿を殘りなく捉へることができる。そして、諸君が希臘語や羅典語を知つてゐるといふのなら、私の方は、煙突の燕どもが空に書くヘブライ語を讀み分けることができる。

 

 

Tubame_20231117074401

 

 

 かはら鶸(ひわ)――「燕つてやつは馬鹿だなあ。煙突を樹だと思つてやがる」

 蝙蝠――「いくら人がなんと云つたつて、あいつとあたしぢや、あいつの方が飛ぶのはまづいよ。晝の日なか、しよつちゆう道を間違へてるんだもの。あたしみたいに、夜にでも飛んでごらん。ひつきりなしに死ぬやうな目にあふから」

 

[やぶちゃん注:スズメ目ツバメ科ツバメ属ツバメ Hirundo rustica 。第二条の「かはら鶸」は♂、「蝙蝠」は♀だが、原文で判る通り、前者は男性名詞、後者は女性名詞であることに基づいた訳となっている。但し、残念ながら、「かわらひわ」の訳は正しくない。“PINSON”は、所謂、英語のダーウィンの観察による個体変異で知られる英語“Finch”(フィンチ)で知られるスズメ目スズメ亜目スズメ小目スズメ上科アトリ科 Fringillidaeの多数の属群の一種であるから「あとり」と訳すのが正しい。「かわらひわ」はアトリ科で、ヒワ属カワラヒワ Chloris sinica であるが、カワラヒワは東アジア(中国・モンゴル。ロシア東南部・朝鮮半島。日本)にしか分布しないからである。フランス語の同科のページには多数の属が掲げられている。「蝙蝠」は哺乳綱獣亜綱真獣下綱ローラシア獣上目翼手(コウモリ)目 Chiroptera。フランスだけでも三十四種が確認されているので、種の同定は不能である。

「そして、諸君が希臘語や羅典語を知つてゐるといふのなら、私の方は、煙突の燕どもが空に書くヘブライ語を讀み分けることができる。」辻昶訳一九九八年岩波文庫刊「博物誌」では、注があり、『ギリシア語やラテン語を知っているというのは、むづかし言葉を知っている、もの知りだということになるが、ヘブライ語はそれ以上にむづかしい言葉』であることから、『「それは私にとってはヘブライ語だ」というと、「私にはちんぷんかんぷんだ」という意味になる』とあった。]

 以下の原文は、「Internet archive」の原本の当該部を参考に、「Ⅰ」「Ⅱ」を除去し、前半との間を三行空けた。]

 

 

 

 

LES HIRONDELLES

 

Elles me donnent ma leçon de chaque jour.

Elles pointillent l'air de petits cris.

Elles tracent une raie droite, posent une virgule au bout, et, brusquement, vont à la ligne.

Elles mettent entre folles parenthèses la maison où j'habite.

Trop vives pour que la pièce d'eau du jardin prenne copie de leur vol, elles montent de la cave au grenier.

D'une plume d'aile légère, elles bouclent d'inimitables parafes.

Puis, deux à deux, en accolade, elles se joignent, se mêlent, et, sur le bleu du ciel, elles font tache d'encre.

Mais l'oeil d'un ami peut seul les suivre, et si vous savez le grec et le latin, moi je sais lire l'hébreu que décrivent dans l'air les hirondelles de cheminée.

 

 

 

LE PINSON. - Je trouve l'hirondelle stupide : elle croit qu'une cheminée, c'est un arbre.

LA CHAUVE-SOURIS. - Et on a beau dire, de nous deux c'est elle qui vole le plus mal : en plein jour, elle ne fait que se tromper de chemin ; si elle volait la nuit, comme moi, elle se tuerait à chaque instant.

 

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