「博物誌」ルナアル作・岸田國士譯(正規表現版・ボナール挿絵+オリジナル新補注+原文) 「こま鶯(うぐひす)」
[やぶちゃん注:本電子化はサイトの「心朽窩新館」で偏愛する『ジュール・ルナール「博物誌」岸田国士訳(附 Jules Renard “ Histoires Naturelles ”原文+やぶちゃん補注版)』を公開している(新字新仮名戦後版)が、今回は国立国会図書館デジタルコレクションの正字正仮名のもの、戦前の岸田國士譯ジュウル・ルナアル 「博物誌」(昭一四(一九三九)年白水社刊)の画像(リンク先は当該書の標題附き扉二)を視認出来るようになったことから、それをブログ版として、新規まき直しで、零から始めることとしたものである。詳しくは初回の冒頭注を参照されたい。
また、ボナールの画像に就いては、十六年前のそれではなく、再度、新潮文庫版のそれを、新たにOCRで読み込み、補正・清拭して用いる。注も一からやり直すこととし、原文は前回のものを調べたところ、アクサンテギュの落ちが有意に認められたので(サイト版は敢えてそのままにしておいた)、新たにフランスのサイト“TEXTES LIBRES”の電子化された同書原文のものをコピー・ペーストさせて戴くこととすることとした。]
こま鶯(うぐひす)
私は彼に云ふ――
「さあ、返せ、その櫻んぼを、いま直ぐに」
「返すよ」と、こま鶯は答える。
彼は櫻んぼを返す。が、その櫻んぼと一緖に、彼が一年間に嚥(の)み込む害蟲の三萬の幼蟲も返して寄越す。
[やぶちゃん注:本篇にはボナールの絵はない。分布域から考えて、これはスズメ目コウライウグイス科ニシコウライウグイス Oriolus oriolus ととつてよい。辻氏は標題を『こうらいうぐいす』とし、佃氏も『高麗鶯(こうらいうぐいす)』とされておられる。
「櫻んぼ」双子葉植物綱バラ亜綱バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属 Prunus sp.。]
*
LE LORIOT
Je lui dis :
- Rends-moi cette cerise, tout de suite.
- Bien, répond le loriot.
Il rend la cerise et, avec la cerise, les trois cent mille larves d'insectes nuisibles, qu'il avale dans une année.
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