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2024/01/22

柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」 「竜頭」

[やぶちゃん注:本書は昭和三六(一九六一)年一月に東京堂から刊行された。この総題の「随筆辞典」はシリーズ物の一書。本書については、初回の冒頭注を、また、作者については、私の『柴田宵曲 始動 ~ 妖異博物館 「はしがき」・「化物振舞」』の私の冒頭注を参照されたい。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションのこちらを使用した。新字新仮名である。但し、加工データとして、所持する筑摩書房『ちくま文芸文庫』の「奇談異聞辞典」(底本を解題したもの・二〇〇八年刊)を加工データとして使用させて貰った。ここに御礼申し上げる。

 読みが振れる、若い読者が躓くかも知れぬ箇所には《 》で読みを添えた。引用文の場合は歴史的仮名遣を用いた。なお、( )は柴田自身が附したルビである。

 また、柴田のストイックな編集法を鑑み、私の注は、どうしても必要と判断したもののみとした。幸い、有意な部分は私が既に電子化注したものがあるので、それをリンクさせてもいる。但し、この原本は新字新仮名であるため、私が電子化していない引用文の原本に当たることが出来たものは、極力、視認出来るように、国立国会図書館デジタルコレクションや他のデータベースの当該部をリンクさせるように努めた。

 なお、辞典形式であるので、各項目を各個に電子化する。公開は基本、相互の項目に連関性がないものが多いので、一回一項或いは数項程度とする。

 

 竜頭【りゅうとう】 〔塩尻巻四十八〕遠江国天竜川<静岡県西南を流れる川>の西頓(やが)て河下に、頭陀寺とて薬師を安んずる密院あり。この寺に竜の首とて、いと大きなるされかうべあり。(先年江戸ヘ持来て見せし)竜の故事さまざまいへり。天竜川の称もこの竜頭より起れる名と云々。京師建仁寺に鬼の首とて、凡そ一尺ばかりの髑髏侍りし。これは由縁もたしかならず。故に前の住職の僧、よからぬ物とて人に取らせられしと都の僧かたりし。今はいづくにかありや。すべて諸寺の蔵に奇怪の物多し。世人あやしきを好むのみ。 〔閑田耕筆巻一〕水戸宍戸(ししど)(苗氏にも有りて、完と書くは誤りなり。肉と同字にて、国訓しゝといふなり)といふ所に、稲田姫を祭れる小祠あり。この辺の崖(きし)崩れたるを修《をさ》めんとするに、あたる物あり。何ならんと掘りてみれば、大なる甕(かめ)のごとし。かの鋤にふれて欠けたる所を取あげ見れば大なる歯骨なり。猶この甕のごときもの、限りもしられず、歯も随ひて数あり。官の検《しらべ》を得て、この歯を奉りしが、一枚の重サ三貫五百目[やぶちゃん注:十三キロ百二十五グラム。]なり。彼《か》の甕のごときは、竜頭に決す。猶掘ラ[やぶちゃん注:ママ。]ば全体顕《あらは》るべけれど、益なしとてやみぬ。伝説なければ由縁はしらねども、稲田姫を祭れるも、もしくはこの竜の妖を鎮めんがため、八股(やまた)の蛇(おろち[やぶちゃん注:ママ。])の故事をおもへるにやと、かしこに仕官せし人かたりぬ。

[やぶちゃん注:「塩尻」「鼬の火柱」で既出既注。国立国会図書館デジタルコレクションの「隨筆 塩尻」下巻(室松岩雄校・明治四〇(一九〇七)年帝國書院刊)のここ(右ページ上段後ろから六行目)から正字で当該部を視認出来る。

「頭陀寺」静岡県浜松市南区頭陀寺町にある高野山真言宗頭陀寺(ずだじ:グーグル・マップ・データ)。

「竜の首」現存しない模様である。人造物だろう。

「閑田耕筆」「青木明神奇話」で既出既注。国立国会図書館デジタルコレクションの『日本隨筆全集』第六巻(昭和二(一九二七)年国民図書刊)のここ(左ページ冒頭)で当該部が正字で視認出来る。

「水戸宍戸(ししど)」「稲田姫を祭れる小祠あり」不詳。茨城県笠間市大田町に宍戸があるが、この地区には、稲田姫を祀る神社は見当たらない。気になるとすれば、北方向にある飛龍神社であるが、稲田姫は祭神ではない。友部駅近くに「小祠」があるが、祭神は確認出来ない。遙か西北になるが、茨城県笠間市稲田にある稲田神社が名にし負う神社ではあるが、よく判らない。龍の首を神宝とする現存する神社は、この周辺には、ない。しかし、古くからよく参考にさせて頂いている龍の最強サイト「龍鱗」の「稲田姫神社の大蛇 茨城県笠間市」に興味深い伝承と解説があった。

   《引用開始》

稲田姫神社は式内の古社だが、その森には大蛇が住んでいたという。昔、ある坊さんが立ち寄り、貧しく供えるものがないので、一心に読経をしてお参りした。そして、休んでまた道を行くと、大風が出て黒雲が覆い、沢山の化け物どもが追いかけてきた。それでまた一心にお経を唱えると、化け物は消え、坊さんは助かった。

坊さんは鹿島神社に行くと、お経をあげ、稲田社で斯様なことがあったのはなぜか、悪い神のたたりだろうか、と神前で問うた。すると夢に鹿島の神がたくさんの神々を連れて現れ、取り調べてみようといい、神兵が稲田に飛ぶと、白髪の老人を連れてきた。

鹿島の神は、老人に、人々を守る仕事をしないで脅かすとは何事か、と老人・[やぶちゃん注:ママ。「が」「は」か。]稲田の神を詰問した。すると老人は、数百年生き、神通力をもった大蛇に神社を奪われ、自分は木の根に住んでいる始末であると訴え、この度の怪異もその大蛇の仕業であると申し述べた。

鹿島の神はこれを聞くとただちに五千の神兵を行かせ、大蛇を討ち取らせた。戻った神兵が持ってきた白蛇の首は、四、五メートルもあり、角は鋭く、耳は箕のように大きかった。

目覚めた坊さんが、急ぎ笠間に戻ると、稲田神社は焼けて灰になっていた。村人に聞くと、昨夜急に大嵐がおこり、雷の音に弓矢の音や叫び声が混じり、黒雲が火を吹くと神社はたちまちに燃えたのだ、と語った。そのあとには、五、六メートルもある首のない大蛇の死体が転がっていたという。

   《引用終了》

以上は、『笠間文化財愛護協会』の「笠間市の昔ばなし」『(筑波書林)より要約』とある。而してサイト主は、『『続お伽婢子』から、とあるので、近世にはこのように語られていたのかもしれない。もとより奇稻田姫を祀るはずの稲田神社だが(「稲田姫の大蛇退治」など)、ここでは神は白髪の老翁になっている。近世あたり』、『稲田神社は相当荒廃していたというが、伝も不明瞭になっていたのだろうか』。『それでも、やはり蛇と縁の深い社だというイメージはあったのだろう。話の上では邪な大蛇であるばかりだが、地主が蛇だという所でままこのようにも語られるものではある』。『水戸の御老侯(は、実際に稲田神社の荒廃を嘆いて旗幟を寄進しているのだが)が例によって、神殿の扉を開けようとしたところ、扉に手が挟まり抜けなくなった、などという話もあるが、これをやったのも大蛇のほうかもしれない』とあった。「龍の首」ではなく、「首のない龍の死体」という反転内容であること、近世には、かなり稲田神社が荒廃していたという記載から「小祠」が納得はされる。

「大なる歯骨」やや重さが過剰だが、恐らくは、軟骨魚綱ネズミザメ目Otodontidae 科(或いはネズミザメ科 Lamnidae)オトドゥス Otodus 属或いはカルカロクレス又はホホジロザメ属 Carcharodonムカシオオホホジロザメ Otodus megalodon 或いは Carcharodon megalodon で、約二千三百万年前から三百六十万年前の前期中新世から鮮新世にかけて生息していた絶滅種のサメの歯である。ウィキの「メガロドン」を見られたい。]

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