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2024/01/21

柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」 「雷と蜥蜴」

[やぶちゃん注:本書は昭和三六(一九六一)年一月に東京堂から刊行された。この総題の「随筆辞典」はシリーズ物の一書。本書については、初回の冒頭注を、また、作者については、私の『柴田宵曲 始動 ~ 妖異博物館 「はしがき」・「化物振舞」』の私の冒頭注を参照されたい。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションのこちらを使用した。新字新仮名である。但し、加工データとして、所持する筑摩書房『ちくま文芸文庫』の「奇談異聞辞典」(底本を解題したもの・二〇〇八年刊)を加工データとして使用させて貰った。ここに御礼申し上げる。

 読みが振れる、若い読者が躓くかも知れぬ箇所には《 》で読みを添えた。引用文の場合は歴史的仮名遣を用いた。なお、( )は柴田自身が附したルビである。

 また、柴田のストイックな編集法を鑑み、私の注は、どうしても必要と判断したもののみとした。幸い、有意な部分は私が既に電子化注したものがあるので、それをリンクさせてもいる。但し、この原本は新字新仮名であるため、私が電子化していない引用文の原本に当たることが出来たものは、極力、視認出来るように、国立国会図書館デジタルコレクションや他のデータベースの当該部をリンクさせるように努めた。

 なお、辞典形式であるので、各項目を各個に電子化する。公開は基本、相互の項目に連関性がないものが多いので、一回一項或いは数項程度とする。

 

 雷と蜥蜴【らいととかげ】 〔四不語録巻四〕篠崎何某《なにがし》越前大野の山入《やまいり》を行きけるに、向うの方よりその長さ二尺ばかりなる蜥蜴走り出て、榾柮(きりかぶ)の上にのぼる。何某これを見て、世に多き蜥蜴よりは大きに、形もいさゝかかはれると思ひ、立寄りてみむとしければ、そのあたりに山人《やまうど》四五人も居たりしが、いづれも制して、これは雷(かみなり)なり、立寄《たちより》て害にあひ給ふなとゞめけり。何某これを聞きて、神鳴とは心得がたしといへば、山人答へて、この生類《しやうるゐ》此《かく》の如く走り出で、榾柮にのぼり四方を見渡す事しばらくあれば、忽ち黒雲下り雷鳴暴雨す、されどもこの蟲竜の如く天上するとも見えず、また雷雨せざる事もあるなり、若し人あつてこの蟲を駭《おおろ》かせば、大きに雷鳴して震《ふる》ひ殺さるゝ者これ多し、さるによりてこのもの出《いづ》ると、何《いづ》れも立退《たちの》きてかまはざるなりと云ふ。何某いへらく、我今大野の宿まで行かんと思ふ、押付《おつつけ》け雷雨に遇ふべきかと訝《いぶか》れば、今しばらく間《ま》あるべし。道をいそぎ給はゞ大野まで遇ひ給はじと云ふ。何某道を急ぐ。大野の宿に著き、我心ざしたる家へ入るとそのまゝ迅雷驟雨《じんらいしうう》せりと。かの篠崎氏の物語りをまのあたり聞《きき》て、こゝに記す。

[やぶちゃん注:「家焼くる前兆」で既出既注。写本でしか残っておらず、原本には当たれない。

「越前大野」現在の福井県大野市(グーグル・マップ・データ航空写真)。大野市市街と、北の勝野市市街地を除くと、周囲の殆んどは、山間部である。

「蜥蜴」龍蛇類の近縁とされたので(私の「和漢三才圖會 卷第四十五 龍蛇部 龍類 蛇類   寺島良安」の「蜥蜴」の項を参照されたい)、雷を自由に操れる龍との親和性があると言える。]

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