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2024/01/25

柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」 「和野の怪事」 / 柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」~完遂

[やぶちゃん注:本書は昭和三六(一九六一)年一月に東京堂から刊行された。この総題の「随筆辞典」はシリーズ物の一書。本書については、初回の冒頭注を、また、作者については、私の『柴田宵曲 始動 ~ 妖異博物館 「はしがき」・「化物振舞」』の私の冒頭注を参照されたい。

 底本は国立国会図書館デジタルコレクションのこちらを使用した。新字新仮名である。但し、加工データとして、所持する筑摩書房『ちくま文芸文庫』の「奇談異聞辞典」(底本を解題したもの・二〇〇八年刊)を加工データとして使用させて貰った。ここに御礼申し上げる。

 読みが振れる、若い読者が躓くかも知れぬ箇所には《 》で読みを添えた。引用文の場合は歴史的仮名遣を用いた。なお、( )は柴田自身が附したルビである。

 また、柴田のストイックな編集法を鑑み、私の注は、どうしても必要と判断したもののみとした。幸い、有意な部分は私が既に電子化注したものがあるので、それをリンクさせてもいる。但し、この原本は新字新仮名であるため、私が電子化していない引用文の原本に当たることが出来たものは、極力、視認出来るように、国立国会図書館デジタルコレクションや他のデータベースの当該部をリンクさせるように努めた。

 なお、辞典形式であるので、各項目を各個に電子化する。

 本篇を以って柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」の本文は終わっている。昨年の八月十日の始動だから五ヶ月余りかかった。読者には御礼申し上げる。

 

 和野の怪事【わののかいじ】 〔北国奇談巡杖記巻三〕同国<越後>弥彦《やひこ》より一里北に、和野村<新潟県西浦原郡内>といへる小邑《こむら》あり。爰に権七といヘるものの家にてありけるが、これは神無月<旧暦十月>廿日あまり、素雪《そせつ》ふりうづみて寒気つのり、いろりに語らひ、夕暮より雑炊《ざうすい》をこしらへ、節(ほどよ)く煮えるまゝ攪擾《かきまわ》さんとしけるに、俄かに屋上鳴動して、顒山(ぎやうさん)なる手を伸《の》べ、かの杓子を奪ひとり、鍋ともに引上げてけり。家内のものども消えかへる心地して、わなゝき恐れ、倒れつるもあり、逃《にぐ》るもあり。さるほどに一村寄集りて、区々に評議し、家内へいらんとするに、砂石いづくともなく投げいだして、手足に疵をかうむり、頭にあたることしきりにして、暫時に砂石庭中をうづむ。雪中のことなれば、あたりには礫《つぶて》のあるべきやうもなかりしに、あやしき侃言(あやまち)をなし侍る。半時ばかり屋上鳴動して止《やみ》ぬる故に、強勇の若ものども進みうかがふに、もとのごとく空しき虚鍋(からなべ)炉上にありけり。その翌晩に、また茶を焚《たき》て汲《く》まんとするを、前夜のごとく鳴り出《いづ》るゆゑ、兼ねて逃げ仕度《じたく》せしゆゑ、こゝろえて走り出《いで》ける。また翌日も試むるに、以前のごとくなれば、終《つひ》に虚屋(あきや)となして、みなみな他に出《いで》けるに、何の煩ひもなし。いかなることにや。いまだ不審に侍ると、ある人語らひ侍る。

[やぶちゃん注:天狗の石礫に類似するが、実際に砂石によって怪我を受けており、さらに飲食物が食い荒らされてあることから、冬場の困窮期なれば、賤民の仕業になる擬似怪談と思われる。

「北国奇談巡杖記」加賀の俳人鳥翠台北茎(ちょうすいだい ほっけい)著になる越前から越後を対象とした紀行見聞集。かの伴蒿蹊が序と校閲も担当しており、文化三(一八〇六)年十一月の書肆の跋がある(刊行は翌年)。国立国会図書館デジタルコレクションの『日本隨筆大成』第二期第九巻(昭和四(一九二九)年日本随筆大成刊行会刊)のこちらで、正字活字で読める(左ページ二行目から)。標題は『○和野の怪事』。先行する『柴田宵曲「随筆辞典 奇談異聞篇」 「生(はえ)ぬきの地蔵」』の引用元の次の項に当たる。その条から『越後國之部』となっている。

「越後」「弥彦より一里北」「和野村」「新潟県西浦原郡内」現在、「和野」の地名は見当たらない。しかし、弥彦神社大鳥居位置から北北東に一里行った位置に、新潟県新潟市西蒲区和納(わのう)がある(グーグル・マップ・データ)ので、ここに比定する。]

 

[やぶちゃん後記:この後、「引用書目一覧表」となる。散々、各話でオリジナルに解説してきたので、電子化する積りはない。但し、中には、宵曲の底本としたものとは、異なる底本であることもある。表の中では、五十音の単音毎(ごと)に一行空けが施されてあるが、『ちくま文芸文庫』の改題版「奇異異聞辞典」では、それがない。試みに、底本を『ちくま文芸文庫』のものと子細に比較してみたところ、底本では、「か行」(上記リンク先下段)に(字空けは再現していない)、

   *

海 録│山崎美成│文政~天保│国書刊行会本

   *

の一条が抜けていることが判った。因みに、一覧に掲げられた引用書は(同一作者の続篇等も一つと数えている)、「海録」を加えて、全百七種に及ぶ。

 次いで、奥付の前のページからページ逆方向で「索引」がある。これは、項目は総てで、それ以外に『文中のもので特に重要と思われるものも摘出』してあり、怪奇談好きには、使い勝手がよいものである。

 最後は奥付(「索引」の左ページ)。完全電子化は省略するが、上段の右に張られた版権所有紙に朱の「柴田」の認印があり、その左端に、『編者略歴』と標題して

   *

 明治三十年東京生まれ。
著書に「蕉門の人々」「子規
居士」「子規居士の周囲」
「古句を観る」などがある。

   *

とある。この内、「蕉門の人々」と「子規居士」は私のカテゴリ「柴田宵曲」で既にオリジナル電子化注を終わっている。因みに、私が今後、手掛けようと考えているものは、「古句を観る」である。以下(年月日に漢数字は底本では半角。編者名には珍しくルビがある)、

   *

初版発行 昭和二十六年一月三十一日

             定価八八〇円

  編 者 柴 田 宵 曲

   *

以下、発行者・印刷所・製本所、そして発行所住所と株式会社『東京堂』(電話・振替番号附き)とある。

 また、奥付の下方に太い横罫が引かれて、その下に、太字で(字空けは正確には再現していない)、

   *

 随 筆 辞 典 奇 編    ©1961

   *

とある。]

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