譚海 卷之九 江戶より仙臺まで東海濱通り里程の事
[やぶちゃん注:標題は「えどより、せんだいまで、ひがしはまどほり、りていのこと」と訓じておく。]
○江戶より、東濱通(ひがしはまとほり)、仙臺に至るには、千住より、水戶迄、二日路(ふつかみち)、水戶より、岩城領、湯本まで、一日半、「湯もと」より、相馬まで、一日半、相馬より、仙臺まで、十二里、仙臺城下より、雄島までは、陸行(りくかう)、九里なり。仙臺より、羽前銀山(うぜんぎんざん)ごえの道は、仙臺領、「七きた」といふより入(いり)て、本道中(ほんだうちゆう)、尾花澤へ來(きた)るまで、二日路なり。但(ただし)、仙臺より、七北迄は、壹里半なり。
[やぶちゃん注:前話の注で示した通り、これは津村自身の実計測里程である。
「東濱通」「浜通り」は、福島県の東部に相当し、太平洋側沿岸の地域。東の太平洋と、西の阿武隈高地に挟まれており、南北に細長い。当該ウィキに載る地図が判り易い。
「岩城領、湯本」「湯もと」現在の福島県いわき市常磐湯本町(じょうばんゆもとまち)三函(みはこ:グーグル・マップ・データ。以下同じ)。
「相馬」福島県相馬市。
「仙臺城下より、雄島までは、陸行、九里なり」「仙臺城下」は、この中央附近。「雄島」は松島海岸の南の陸に近い島名。「九里」約三十五キロメートル。現行で仙台城下から雄島まで、ざっくりと計測すると、約三十キロメートルほどあるので、この里程は現行の「一里」と考えてよい。
「羽前銀山(ぎんざん)ごえの道」は、現在の国道三百四十七号沿線にある、「銀山温泉」であろう。私は二度、入湯したことがある。
『仙臺領、「七きた」』宮城県仙台市泉区七北田(ななきた)であろう。
「尾花澤」山形県尾花沢市。]