譚海 卷之六 淡路國住人森五郞兵衞海上無難に渡る事 附長州家士村上掃部淨沓家藏の事
[やぶちゃん注:これまでのフライング単発で、推定歴史的仮名遣の読みは勿論、句読点・記号変更・追加、段落成形を行ってきた関係上、以下でも、読者の読み易さを考え、「卷之六」以降、それをルーティンに正式に採用することとする。標題の「附」は「つけたり」と読み、「掃部」は「かもん」、「浮沓」は「うきぐつ」と読んでおく。]
○淡路國に森五郞兵衞といふ人、松平阿波守殿、家來分にて、公儀の人、住(ぢゆう)す。
海上の步行、平地のごとし。
代々、家に奇驗(きげん)ありて、おなじ事也。
「いかなる大風雨(だいふうう)にも渡海するに、覆沒(ふくぼつ)の憂(うれひ)、なし。」と、いへり。
又、長門毛利家の家中に村上掃部と云(いふ)もの、家に「浮沓」と云ものを傳ふ。
「每歲(まいとし)、元日には、右の沓をはき、隱岐國まで往來し歸りて、元日の朝飯を祝(いは)ふ。」
と、いへり。
[やぶちゃん注:二つともに、都市伝説のようで、真面目に考証する気にならない。忍者の「水蜘蛛の術」があるが、あれで瀬戸内海上や隠岐へ行けるとは、到底、考えられない。]
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