譚海 卷之九 常州水戶に矮人の事
[やぶちゃん注:「矮人」は「わいじん」で「背丈が低く、身体の小さい人」を指す語。]
○『水戶には、矮人、おほく出(いづ)る。』
由、光國[やぶちゃん注:ママ。]卿の著述の書に見えたり。
是は當國一般の事には、あらず。
たけひくき人を生(うめ)るは、筑波山の北より、八溝(やみぞ)のあたりには、今も、絕(たえ)ず、短人(たんじん)を生るなり。
按ずるに、大己貴(おほなむち)の尊(みこと)、常州の鎭座にましまし、寸長(すんつやう)、短き人にましますよし、神書に見へたれば、其故に短人多くある事成(なる)べしと、いへり。
[やぶちゃん注:「筑波山」ここ(グーグル・マップ・データ。以下同じ)。
「八溝」八溝山(やみぞさん)。旧黒羽町(現在の大田原市)の北東部に位置する山で、山頂は栃木県から一キロメートル東寄りの福島県と茨城県の県境に位置する。八溝山地を代表する山で、山地の最北端にして最高峰の山である。
「大己貴の尊」「大國主命」に同じ。茨城県大洗町にある大洗磯前(おおあらいいそさき)神社は、「國つ神」の彼が「國造り」を行うため、同神社境内の前方の岬の岩礁に降臨したとされている。永く荒廃していたが、まさに光國が再興している。]