譚海 卷之十二 尾州母堂源常院殿御事
[やぶちゃん注:本文の頭に「此」(この)があるのは、前話を受けているため。]
○此源常院樣、佛法、殊に御信仰にて、その姬君、又、同じ信心者にましましけるが、母君、何となく、御わづらひ、あり。
日數(ひかず)をふれど、おこたらせ[やぶちゃん注:ここは「病気が平癒し」の意。]給はぬ時、姬君、色々の願(ぐわん)をたてて、本復を佛に祈(いのり)たまひしに、ある晚の夢に、尊(たつと)き僧の來(きたり)て、
「此病氣、平癒を祈るには、千體地藏尊の像を、繪に書(かき)て成(なり)とも、造立あれ。」
と有(あり)て、おどろき[やぶちゃん注:「目が覚め」。]給へば、ふしぎに思召(おぼしめし)て、やがて母君に申させ給ひ、諸(もろ)ともに、御手づから、地藏尊の繪を、千枚、板におして、施し給ふ。そのしるしにや、すがすがと、本復ましましける、とぞ。
[やぶちゃん注:底本では最後に割注で、『(別本缺)』とある。]

