譚海 卷之十二 商賣利得をむさぼる事
[やぶちゃん注:前の悪僧のケースを、商人(あきんど)に適用した内容で、明らかに、前の続きとして書いており、形式や論理も酷似するが、これは、僧のとは、自ずから異なる核心部があるので、独立させた。]
○國主の用を辨じ、利德を、むさぼり、いつはり多く世わる[やぶちゃん注:底本では、「わ」と「る」の間に編者による修正割注が『(た)』と入っている。「渡る」である。]わざ、淺まし。あき人(んど)といへども、はたして、むくいは侍るべし。
「さるを、子孫、つゞきて、さすがに、家もたえず侍るは、いかゞにや。」
と申(まうし)ければ、
「國守は、國王につゞきて、大なる『ろく』をうけ、人を、はごくみ給ふべき事なれば、利德、むさぼる者も、たちまちに、むくひはなき事にや。」
と、の給ひし。
[やぶちゃん注:底本では末尾に編者割注で『(同前)』とある。前話と同様の意で、『(別本缺)』を指す。]