譚海 卷之十 西國小豆島の事
○小豆島は、十里四方ほどある島にて、居民の屋舍、城下の如し。富人(とめるひと)、おほくして、常に木綿を着(き)ず、絹紬(きぬつむぎ)の類(たぐゐ)を着するもの、おほし。島には、米穀を生(しやう)ぜず、さつまいも麥ばかりを生ず。田作(たづくり)の事、なし。居(をる)人、さつまいもを、年々、船へ積(つん)で、大坂へ賣出(うりいだ)し、米に代(かへ)て衣食する事と、いへり。
[やぶちゃん注:「十里四方」小豆島は海岸線延長は百二十六キロメートルで、東西二十九キロメートル、南北十五キロメートルである。]