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2024/03/28

譚 海 卷之十三 京大坂雅會厨下の物語の事 客來給仕人を用ざる仕やうの事 市中書齋かまへ樣の事 土藏板敷の事 瓦に草を生ぜざる方の事 湯殿かまへ樣の事 庭に池を掘べき事 あかり障子こしらへやうの事 雨戶の事 炬燵の事 雪隱こしらへやうの事 家に南北に口有べき事

○京・大坂にて、豪富のもの、朝夕、親友の閑話往來は、僕從を勞する事、なし。

 別室に招侍の座敷を拵へ、戶棚・肩下の具、殘らず備置(そなへおき)、其日、くふべき魚・鳥・菜(さい)・羹(あつもの)の品を調味し、器物に、たくはへ、酒醬油の類(たぐひ)までを收置(をさめおき)て、客を引(ひき)て、室(へや)に入(いり)、主客ともに、手づから、煮やきをして、心ゆくまで、うちくひ、閑話する也。

 室中に爐を開(ひらき)て、用に適する、と云へり。

 

○座敷に、平生、亭主、坐する所の壁に近よせて、敷居より、五、六寸、高く、二枚、ふずま[やぶちゃん注:ママ。]を拵へおけば、親友、來りて話するにも、家僕を勞する事、なし。茶・たばこぼんをも、次の間まで、人、持來(きたり)て、あなたより、小ぶすまを開(あけ)て、さし出(いだ)す。亭主、請取(うけとり)、客に供するに、便宜、よし。膳部を、此ふすまより出(いだ)べし。主客の閑話を、さまたげずして、大(おほい)に雅趣を助(たすく)る事也。

 

○市中の狹き住居には、座敷の隅に、六尺に三尺の張出(はりだ)しを造(つくり)て、疊、壹でう[やぶちゃん注:ママ。「でふ」が正しい。]分(ぶん)を書齋として、机・書籍などを置(おく)べし。俗人、來(きた)るときは、則(すなはち)、屛風にて、書齋を、おほひ隱(かく)せば、常の座敷のやうに成(なる)なり。白眼(はくがん)の側目(そばめ)を免(まぬか)るベし。

 

○土藏の床板は、殘らず格子にすべし。入梅の節に至らば、疊を、のけて、格子より、風を通ずるやうにすべし。

 

○土藏の瓦の際(きは)に、草を生ぜぬやうするには、瓦を置(おく)時、家根の土に、「あらめ」を切(きり)まぜて、瓦の下に置(おく)ときは、皆、鹽氣(しほけ)にて、草を生ずる事、なし。

[やぶちゃん注:「あらめ」不等毛植物門褐藻綱コンブ目レッソニア科 Lessoniaceae アラメ(荒布)属アラメ Eisenia bicyclis 。私のブログの「大和本草卷之八 草之四 海藻類 / 海帶 (アラメ)」を、サイトが見られるなら、「和漢三才圖會 卷第九十七 水草 藻類 苔類 寺島良安」の「海帶(あらめ)」の項を参照されたい。海藻類を、恐らくは一種の強靭な「つなぎ」としたものと私は思うが、幾つかの古文献に見られる。]

 

○湯殿は、板敷を用ひず、「たゝき」にすべし。長く損ずる事なく、且(かつ)、板敷(いたじき)を取(とり)かふる費(つひへ)を、はぶく。湯に入終(いりをは)りて、風呂袖桶を、かたむけ、風を通すにも、能(よく)有(あり)。湯をつかふ時は、「たゝき」の上に、三尺四方ばかりの格子を置(おき)て、その上にて、つかふ也。

 

○庭に、閑地(あきち)あらば、池を掘(ほる)べし。急火(きふくわ)のときに、物をなげ入(いれ)て立退(たちのく)べし。

 

○障子の「こし」は、半紙にて張(はる)やうに、こしらふべし。半紙は、座右の紙ゆゑ、「せうじ」の破れ、つくろふにも、用を辨じやすし。

 

○椽(えん)のある家も、戶をば、内雨戶(うちあまど)に造るべし。椽の外へ、雨戶をつくる時は、椽の板のすきより、風、吹入(ふきいり)て、冬は、殊に寒し。

 

○火達(こたつ)は、少し、勝手よからずとも、無用の所に拵ふべし。火にあたるは、大てい、夜陰ばかりの物なれば、無用の所にありても、さのみ、不自由には、なきもの也。勝手よき所に、こしらふれば、客來の時に妨(さまたげ)になりて、あしし。

 

○雪隱(せつちん)は、狹き方(はう)、勝手に、よろし。大きく造らば、まへに橫木を渡して、よりかゝるやうにすべし。あやまりても、ふみ落(おつる事、なし。掃除口[やぶちゃん注:便槽の汲み取り口。]は、三尺四方ばかりの、戶ひらきに造りて、内より、かけがねを付(つく)べし。掃除のときは、戶をひらき置(おき)て、「ひさく」[やぶちゃん注:「柄杓」。]をつかふに、つかへる事、なくして、よし。

 

○家は、かならず、南北に、口、なくしては、冬・夏、暴雨のとき、家の内、くらし。南ばかりの口ならば、北には窻(まど)なりとも、設(まうく)べし。

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