譚海 卷之十二 秋葉權現防火采配
○遠州、秋葉山權現より、采配を出(いだ)す也。此さいはひにて、火難の時、火に向(むかひ)て打(うち)ふれば、火、橫ざまに、なびきて、火災を遁(のが)るゝ事、不思議の靈德也。秋葉山より、每年、一度づつ、采配を施す日あり。其時を、しりて、もらひに行(ゆく)べし。
江戸、石原の旅宿にても、いだす也。
[やぶちゃん注:「秋葉山權現」先行する「譚海 卷之六 同國秋葉山權現の御事(フライング公開)」を参照されたい。
「采配」本来は、紙の幣(しで)の一種で、昔、戦場で大将が手に持ち、士卒を指揮するために振った道具。厚紙を細長く切って作った総(ふさ)を、木や竹の柄につけたものを指すが、ここは、その形がそれに似ているところから「はたき・ちりはらい」のことであろう。但し、ネットで調べたところでは、現在は通常の火防御札であるようだ。
「石原の旅宿」現在の調布市にあった甲州街道の上石原宿、或いは、下石原宿であろう。ここ(グーグル・マップ・データ)。何故、ここで配布されたのかは、不明。]