譚海 卷之十一 古金襴印金ぎれの事
○「古金欄(こきんらん)」と云(いふ)は、皆、千年に及ぶ「切(きれ)」也。何れも、唐物(からもの)にて、「うるし」にて、もやう[やぶちゃん注:「模樣」。]の「かた」を付(つけ)、金箔にて留(とめ)たる物故(ゆゑ)、洗ひても、落(おち)る事、なし。大燒(おほやき)ぎれ・けいとう切(ぎれ)・花うさぎ・富田切(とみたぎれ)・ふたへづる等、「古金欄」の名物也。
又、「印金(いんきん)」と云(いふ)も、唐(もろこし)にて、織物のもやう、種々(しゆじゆ)、出來(でき)ざる時、繪を絹に書(かき)て、金箔を繪のうへを[やぶちゃん注:ママ。「に」だろう。]押付(おしつけ)たる故、「印金」と云(いふ)也。「印金緞子(いんきんどんす)」、是也。