譚海 卷之十一 黃菊毒なき事
○黃花(きばな)は、菊ばかり、毒、なし。其餘は、毒、有(あり)。黃は、いまだ、地(ち)の氣(き)を、はなれざる故也。白菊は、都(すべ)て、毒、なし。紅花は、是に次(つぐ)也。
[やぶちゃん注:黄色い花は黄菊以外を有毒と断定するのは、ちょっと、おかしい。確かに本邦の春を告げる黄花のキンポウゲ目キンポウゲ科フクジュソウ属フクジュソウ Adonis ramosa は重症では死亡に至る有毒植物(キンポウゲ科 Ranunculaceaeの植物は多くが有毒である)だが、十七世紀に本邦に渡来したヒマワリは、無毒で、果実は煎って食用になり、生薬として出血性下痢に用いられるからである。
「紅花」キク亜綱キク目キク科アザミ亜科ベニバナ属ベニバナ Carthamus tinctorius 。「紅花」と言うように、花は、初めは鮮やかな黄色なのであるが、後に、オレンジ色を経て、徐々に赤くなる。]